体験談インタビュー4
料理人から転職した小宮山辰也さん
私は調理師の専門学校を卒業後、有名レストランに就職できたのですが、そこは自分の考えていた世界とはまったく違うものでした。
お客様に喜んでもらうために美味しい料理を提供するということが最優先ではなく、売上がいくら、仕入がいくらといった具合に、いつも優先されるのは利益や店舗経営のことでした。
当時まだ20歳だった私は利益最優先の考えに染まることができず、自分には無理な仕事だとその道を諦めてしまいました。
その時、税理士事務所に勤務する母から勧められ、税理士試験受験のための専門学校に2年半、通うことになりました。
卒業までに運良く税理士試験の2科目に合格することができ、さらに小規模の税理士事務所から内定をもらうことができました。
似たような環境の税理士事務所は今も多いと思うのですが、20代前半・未経験で入社したその事務所では、ひたすら単純作業をこなし、給料も最低賃金レベルで、まさに研修生か修行僧かという扱いで働いていました。
そこで約4年経って一通り仕事を覚え、自信をつけて転職を思い立ち、入社したのが今の税理士事務所です。
以前の税理士事務所でやっていた仕事と比べると、お客様と直に接する機会がこれほど多いとは、夢にも思っていませんでした。
以前の私は寡黙で、どちらかというと熱量の少ないタイプだったと思います。しかし、仕事でお会いする経営者はパワフルな方ばかりです。そうした方々と接するうちに、私自身の考え方もポジティブになり、力強い言葉を発するようになっていきました。
料理人の道は諦めましたが、今では税理士の仕事として飲食店オーナーのお客様と何時間も経営について語り合うことがあります。
20歳の頃に抱えていた、美味しい料理の提供と利益の追求を両立する問題に、改めて向き合っている感覚になります。