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実務で使える税理士試験科目とは?

この記事でわかること

  • 実務で役立つ税法科目が分かる

今回は、実務で役立つ税法科目をランキング形式でお伝えしていきます!

1.税理士試験の概要

税理士試験は、全部で11科目ある試験科目のなかから、自分で選んで、合計5科目に合格すれば、税理士になる資格を得ることができます。

合格しやすい科目を選ぶ人もいますし、興味がある科目や、実務に役立つ科目を選びたいという人もいます。

この動画でお伝えするのは、どの税法科目を勉強しておけば、仕事、つまり実務で一番役に立つか?という話です。

まず、私自身の税理士試験の受験歴ですが、簿記論、財務諸表論、消費税法、所得税法、住民税に合格しました!

23歳から受験をはじめて、途中受験しなかった年もありますが、31歳のときに最後の住民税に合格しました。

法人税法も固定資産税も、授業を受けたことがありますし(笑)

税理士業界に勤めて10年以上経ちますので、実務的なお話もちゃんとできると思います!

2.実務でほとんど使わない税法科目

さっそく、実務で役立つ税法科目ランキング第9位。最下位から発表します!

第9位

第9位は、酒税法です。
税金だけでなく、お酒の製造や販売業免許などについても、この酒税法で定められています。

個人的には、全く勉強したことがないですし、実務で必要になったこともありません。

酒造メーカーで働く税理士とか、よほど特殊な仕事でなければ、実務で使うことはないと考えて問題ないと思います!!

第8位

第8位は、固定資産税です。
固定資産税の特徴は、なんと言っても賦課課税方式ということです。
税金には、賦課課税方式と申告納税方式があって、賦課課税というのは、自分でわざわざ計算しなくても、国や地方公共団体が納める税金の額を計算して教えてくれるという意味です。

つまり、わざわざ勉強して学ばなくても、自分で税金計算をする必要がなく、学んだ内容を実際に活かす場面がほとんどありません。

もちろん知識として、この不動産なら固定資産税がいくらぐらいかかるとか、この固定資産税の額なら、不動産の評価額はいくらぐらいだ、というようなシーンもたまにありますが、ネットで検索すれば簡単に調べられるので、自分の頭の中に、知識を入れておく必要性が薄いと思います。

第7位

第7位は国税徴収法です。
国税徴収法は、他の税法科目とすこし違って、所得税、法人税、消費税などの徴収に関する規定をさだめている法律です。

所得税とかは、課税 と言って正しい税金の金額の計算方法を学ぶのに対して、徴収というのは、その 計算した税金をどうやって納付するか?

税金の滞納などがあったときに、どう支払わせるか、どう差し押さえるか、など、支払いについてを学びます。

なので、学ぶ意味がないということではありません。知っておいて損はない知識です。

限定的ではありますが、たとえば弁護士法人や法律事務所に所属する税理士として働く場合は役に立つ内容でしょう。

ただ、一般的な税理士事務所で仕事を進めるのにあたってこの知識を使う機会はほとんどありません。

3.知っていると便利な税法科目

第6位

実務で役立つ税法科目ランキングの第6位は、事業税です。

事業税の科目には、個人事業税と法人事業税が含まれていて、個人事業税は、さきほどの固定資産税と同じく賦課課税なので、学んだ内容を活かす場面はあまりありません。
個人で事業を営んでいる人は、所得税の確定申告をすれば終わりではなく、この個人事業税が、いつ・いくらぐらいかかりますよ、という基本的な案内ができる程度の知識で充分です。

法人事業税は、法人税の申告に連動して計算されるのですが、資本金の額が1億円を超える大規模な法人になると、計算がかなり複雑になります。

そのため、規模の大きな法人クライアントを持つ税理士事務所では、知識を活かせる場面がでてくるでしょう!

第5位

第5位は住民税です。
こちらも個人住民税と法人住民税があります。

個人住民税は賦課課税なので、固定資産税と同じく学んだ知識をあまり活かせない?

と思いきや、住民税は経営者も従業員もすべての人にかかる税金なので、質問されることがとても多いです。

とくに特別徴収といって、会社がお給料から住民税を天引きしているケースも多く、入退社などを絡めたその手続きがわずらわしく、学んだ知識が必要になる場面も多いです。

4.知りませんでは済まされない税法科目

つづいて、実務で役立つ税法科目ランキング第4位を発表します!

ここからは、実務で役立つというレベルを超えて、一般の方から見ても「税理士だったら当然知ってるでしょ」というレベルの税法になります。

第4位

第4位は相続税法です。
財産を一定額以上もった人が亡くなったら、相続税を計算して国に申告しなくてはなりません。

以前は資産家だけにかかる税金、というイメージがありましたが、平成27年の改正により、亡くなった人のうち、財産額が上位約8%の家庭に、相続税がかかるように対象範囲が広がったため、知識の重要性はさらに高まりました。

相続税法は、簿記や法人税、所得税などで学んだ内容を、ほとんど流用できないので、相続税法は相続税法としてしっかり学ぶ必要があります。仕事をしていて、自然と詳しくなる、ということはありません。

第3位

第3位は所得税法です。
一般の方にも馴染みのある、確定申告、の言葉はこの所得税の確定申告のことを指します。

ビジネスをやっている方や、そうでないサラリーマンの方でも、年間の医療費をたくさん使ったとか、住宅ローンを今年新しく組みました、という場合は3月15日までに税務署に確定申告書を提出しなければなりません。

あなたが税理士事務所で働いていると知れば、友人知人からこの時期に色々と相談されることでしょう。

5.仕事の根幹となる税法科目

第2位

実務で役立つ税法科目ランキング第2位は、法人税法です。

一般的な税理士事務所では、メインの客層がこの法人クライアントであり、定期的に経営者と顔をあわせて、この法人税法上の取り扱いや、経理の話をするのが普通です。

無くてはならない知識と言えるのですが、一点だけ注意点があります。

税理士試験における法人税法は学習範囲がとても広く、一般的な中小企業相手だと、ほとんど使わないような特殊な論点の学習もたくさんあります。

実務で必須となる知識も学べる反面、意外とすぐには使わない知識もたくさんあるのが法人税法の試験勉強です。

6.無知が罪となる税法科目

いよいよ、実務で役立つ税法科目ランキング、第1位の発表です。

第1位

第1位は、消費税法です。
消費税法の学習は実務をするうえで避けて通れません。

まず、記帳代行。つまり会計ソフトに仕訳を入力していく作業ひとつひとつに、消費税がかかる取引かどうか?という判断が必要になります。

その入力処理自体は、間違えるたびにメモをとっていけば、消費税法を学んで理解していなくても、表面上はなんとかなるのですが、問題は、届出書の提出です。
消費税にはたくさんの種類の届出書があり、期限までに提出するしない、によって数百万円以上の税額の違いがでるということが、普通に起こります。

ぜひ、この動画の概要欄から見てみて欲しいのですが、税理士職業賠償責任保険といって、税理士事務所が、自社のミスでお客さんに金銭的な損害をおこしてしまったときに、保険金がおりるという、税理士業務に関する保険の仕組みがあって、その運営会社のホームページに、保険事故のデータがはっきりと載っています。
税理士職業賠償責任保険 事故事例(株式会社日税連保険サービス)

税理士職業賠償責任保険

その2019年のデータによると、年間の保険事故件数511件のうち、約半分の252件がこの消費税となっています。

つまり、税理士でもミスをしてしまうのが消費税だという証明です。

消費税法は、試験勉強では学ぶけど、実務ではあまり見かけないというマニアックすぎる学習範囲も、さほど多くはありません。

きっちりと試験勉強しておいて損はない税法科目だと思います!

実務で使える税理士試験科目ランキング