税理士試験の科目は、必須科目・選択必須科目・選択科目の3つに分かれています。
- 必須科目:簿記論・財務諸表論(2科目とも合格が必要)
- 選択必須科目:法人税法・所得税法(1科目以上の合格が必要)
- 選択科目:相続税法・消費税法または酒税法・国税徴収法・住民税または事業税・固定資産税
「消費税法または酒税法」「住民税または事業税」となっているのは、消費税法と酒税法、住民税と事業税はいずれか一つしか選択できないという意味です。
税理士試験の一番の特徴は「科目合格制」と言って、全科目同時に合格する必要はなく、何年かかっても累計5科目に合格すればよいという点です。税理士試験は働きながら受験するのに適した資格と言われるのは、これが理由です。
たとえば、同じ会計系の難関資格である公認会計士試験は、一回の試験で広い学習範囲から出題されます。そのため、働きながら合格できるのは合格者全体の約10%程度とかなり少なくなっています。
税理士試験の合格基準点は各科目とも60%となっていますが、簿記検定と違って配点が明示されておらず、合格率が極端に下振れしないことから、実質的には成績上位10%強が合格する相対試験であると言われています。
合格科目が会計学の2科目と、税法に属する3科目の合計5科目に達した時に「税理士試験合格者(官報合格と呼びます)」となります。
税理士試験は司法試験・公認会計士試験に次ぐ難関試験と言われ、独学で合格するのは困難で、受験準備のために税理士試験の資格専門学校に通う人がほとんどです。
資格専門学校では、合格までに要する勉強期間は5年間と説明することが多いようです。
令和2年(2020年)度の年齢区分別・税理士試験結果を見てみると、30歳までの合格者が約4割となっています(上図表参照)。
若い合格者が多い印象を持つかもしれませんが、逆に言えば、残りの6割近くの人は30歳を越えて合格しています。受験開始から最終合格までに10年以上かかる人も珍しくない試験です。
続いて、各科目の近年の合格率を見てみましょう。
科目ごと、年度ごとのバラつきが見られますが、税理士試験はこの合格率の差以上に各科目ごとの必要学習時間に大きな差がありますので、科目選択がとても重要になります。
各科目で合格レベルに達するまでの必要学習時間は、資格専門学校のホームページやパンフレットに記載されていますが、演習時間を含むかどうか、税法の条文暗記のための時間を含むかどうか等で大幅に変わるため、すべての時間を含んだ目安時間(弊社調べ・上図参照)を紹介します。
この必要学習時間数には当然個人差があるので、あくまで目安と考えてください。合格レベルに到達していたのに運悪く不合格となってしまった場合は、翌年の試験日まで知識を維持するための学習継続が欠かせないので、その分学習時間数が余分に増えることになります。