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税理士事務所を辞めたいと思ったらやるべき4つのこと

この記事でわかること

  • 税理士事務所を辞めたくなる4つの理由を知ることができる
  • 本当に辞めるべきケースと、残留すべきケースを判断できるようになる
  • 円満退職するための秘訣を知ることができる

今、税理士事務所で働いている人のなかには、働くのがつらい・辞めたいと思っている人もいるでしょう。そこで、同じ業界で働く人がどのような理由で税理士事務所を辞めたいと考えているか、その理由をインタビューしてみました。
また、税理士事務所を辞めたいと考えた場合にとるべき行動についても考えてみます。
さらに、円満に退職するためのポイントを解説していきましょう。

税理士事務所を辞めたいと思ったらやるべき4つのこと

 

税理士事務所を辞めたくなる4つの理由

税理士事務所に入社してすぐは、未経験から雇ってくれた事務所に感謝を抱いていても、数年働いているうちに徐々に今の事務所を辞めたいという気持ちが湧いてくることもあるでしょう。 税理士事務所で働いている人はどのような理由で、今の事務所を辞めたいと考えるのでしょうか。その理由から見ていきます。

事務所に対する不満がある

税理士事務所を辞めたいと思う最も大きな理由が、事務所への不満つまり会社体制への不満です。
税理士事務所に対する不満は、色々と表現や形が違えど「自分が正当に評価されていない」ことに集約されるように思います。
上司先輩以上に仕事をやっているのに、先に入社したという理由だけで給料が高い人がいるとか、給料の一番安い自分が一番残業して働く時間が長いという不満が多いようです。

なかでも決定的となるのが、昇給額への不満です。 自分の一年間の努力への評価が、昇給なしとか数千円では、次の一年間を努力するエネルギーがなくなるだけでなく、今後3年、5年経った後の自分の姿をイメージするのが怖くなるのは当然でしょう。
この事務所にいても将来がない、評価してもらえない、そう感じた瞬間に転職活動へと意識が向く人が多いようです。

所長や先輩職員に対する不満がある

税理士事務所を辞めたくなる理由の2つ目は上司や先輩との人間関係です。
ベストセラーとなった『嫌われる勇気』で紹介された言葉「すべての悩みは対人関係の悩みである」とはよく言ったものです。

税理士事務所は小規模な事務所が多く、税理士資格を持っているのが所長1人というのも珍しいことではありません。そうなると、トップダウンで誰も所長に反対意見を言えないようなことも多いものです。
所長の身内や、所長に気に入られている古株社員だけが可愛がられ、それ以外の人間には冷たくされて不満を感じるというのはよく聞く税理士事務所の傾向です。
また、ベテラン職員の中には、若い職員に対する横柄な態度が見られるケースもあります。
実務経験の年数が違えば、仕事の能力に差があるのは当然なのですが、それを傘にかけて偉そうにする人はまだまだ居なくならないようです。

税理士試験の勉強時間がとれない

事務所や人間関係への不満はなくとも、長時間勤務への不満として「税理士試験の学習時間がとれない」から辞めるという人もいます。
この業界では、いつか税理士試験に合格しようと思って働いている人はたくさんいますが、日々の仕事が忙しく、しっかり毎日勉強できない嘆く人は多いのです。

税理士試験前に有給がしっかり使えたり、日々の残業が少なかったりと税理士試験の受験勉強をするのに向いている事務所もあれば、税理士試験の当日でさえ有給の取得を渋られる事務所も実在します。

専門分野や独立開業のステップアップがしたい

同じ税理士事務所で3年、4年と勤めていると基本的には新しい業務を経験する機会は減ってくるのが普通です。事務所自体が成長拡大を続けていれば別ですが、顧客数が横ばい以下の事務所で新しい仕事を経験する機会はほとんどないでしょう。
まだ若い人にとっては、これでは自分の成長がないと考え、一通り経験できる仕事をマスターした所でステップアップを求めて転職したり、有資格者なら独立開業したりということはこの業界では普通に起こります。退職の理由として多数派ではありませんが、確実に一定数を占めるでしょう。

このケースを嫌がって、税理士の科目合格数が4つ以上あるスタッフを逆に雇用しないという税理士事務所もあるほどです。

すぐに辞めたほうがいいケース

本当に今いる税理士事務所を辞めたほうが良いかどうか、それは充分に検討すべきです。
しかし、たくさんの税理士事務所を見てきた経験から、こういう場合は他の税理士事務所や経理の仕事を探して、今の事務所を辞めたほうが良いと明らかに言えるケースがありますので、それをご紹介したいと思います。

ただ、入社してからの期間によっては履歴書に短期間での退職の履歴がついてしまうので、早計な判断だけは避けるようにしましょう。下記のような状況でも、他にも考慮すべき点があることは忘れないでください。

強制的な勤務時間が長い

税理士事務所は時期による繁閑の差が激しく、個人の確定申告時期は長時間の残業や休日出勤も珍しくありません。しかしいくら忙しいからといって、体調に支障をきたすほどのハードワークは従業員にとっても雇用主にとっても不幸な結果を招きます。
土日も一日中仕事していたり、終電帰りが続くようではまともな仕事のパフォーマンスも発揮できないでしょう。そのような状況が数週間続くことに、他の従業員も違和感を抱かないのであれば、転職を検討して問題ないでしょう。

所長税理士や上司によるパワハラ

所長だから。税理士の資格を持っているから。先輩だから。上司だから。あなたより仕事ができるから。こういった理由でも罵倒や人格否定をしていい理由には一切なりません。
未経験の新人でも、一人の人間として仕事上の節度を保った指導をしてくれる事務所が理想的ですね。指導の厳しさについては見極めが難しいこともありますが、あきらかに仕事内容の指摘か、仕事内容を超えた指導かによって判断できるケースもあるでしょう。
こういう職場では、たとえ適切な指導が混ざっていたとしても、そこから学んで自分が成長できるだけの心の余裕がないでしょうから、転職を検討すべきと言えます。

円満退職の5つの秘訣

税理士業界は意外と狭く、所長税理士どうしが知り合いだったり、転職した同僚が別の税理士事務所に就職した噂が流れてくることもよくある業界です。
そのため、いくら不満があって退職する場合でも、喧嘩別れのような真似をせず円満に退職したほうが自分にとって得になるでしょう。
円満退職の5つの秘訣について以下にまとめました。

退職を伝えるのは遅くとも1ヶ月前に

殴ったり蹴られたりという場合をのぞいて、ある日突然出社しないバックレのような行為は社会人としては非常識にあたります。また、退職願を提出したからといって、その日のうちに退職できるわけではありません。

法律上は、少なくとも退職の2週間前に退職意思を伝える必要があるとされています。
仕事の引き継ぎなどを考えると、会社側から1~2か月程度引き継ぎのために出社してほしいと言われることが普通でしょう。
ムダに長い慰留などでなければ、実際の業務引き継ぎに必要な時間は職場にとどまり、最後の職務をまっとうするのが、会社に対してもお客様に対しても筋のように思います。

もちろん、退職理由によっては最後まで会社の言いなりになりたくない気持ちもあるかもしれませんが、そうしないことで会社から意地悪をうけないとも限りません。恨みを残さない範囲で最後の仕事をやりきりましょう。

退職の意思を伝えるのは直属の上司

退職願を提出する相手は、直属の上司です。
課長やリーダーといった明確な自分の上司がいればその人に提出するのが常識で、その人を飛ばしていきなり所長(代表者)に退職の意思表示をしないようにしましょう。
ただし、小規模の税理士事務所など所長以外は全員横並びの組織であれば、所長に直接提出してしまってよいでしょう。

退職を決める前に現職の同僚には相談しない

職場での仕事内容やモチベーションについて、職場の同僚と飲み屋などで話すことはよくあります。
しかし、退職意思がある場合に同僚に相談するのは、一旦待ってよく考えたほうが賢明です。
職場でのこういった話は、本人が思っている以上に早いスピードで知れ渡っていくものです。話す場合は、よほど信頼できる上司か同僚に限っておいたほうが良いでしょう。

心ない所長や上司に退職の意向が知れてしまうと、変な慰留のされ方をしたり、切り離す準備をされたりといずれにしても良い方向にはむかわないと思われます。

退職理由は基本的に前向きな理由だけ伝える

退職願に記載する「一身上の都合」というお決まりのフレーズは別として、面談のなかで本当の退職理由について当然聞かれます。
その時、本当は恨みつらみがたくさんあったとしても、それらを面談の相手に全部伝えるのは、自分にとって得にならないでしょう。言えば言うほど、相手は会社側としての立場を強めてしまうので、なだめたり、呆れたりするだけで、自分の気が済むという以外のメリットがなさそうです。
表面上だけでも、別の分野の仕事の経験を積みたいなどと伝えて、次の職場でも頑張れよと送り出してもらえる形を作って退職できるのが社会人としての理想です。

在職中に転職活動を始める

勤務先との円満退職というより、自分にとっての良い転職という意味で大事なのが、在職中に転職活動を始めようということです。
事務所を先に辞めてしまうと、今より高待遇の税理士事務所で勤務することができなかった場合に元の職場にも戻れないなど、自分で選択肢を狭めて焦りを生んでしまいます。

いくら今の職場に不満があっても、それを基準として選択肢のひとつに「残留」を置いておくことで、転職先の比較が冷静にできるのです。
面接官の中には、職歴が連続しておらず転職のたびに数ヶ月の間があくことをマイナス評価と考える人もいます。

辞めずに今の税理士事務所に残るべきケース

完全なる主観ではありますが、今の職場を辞めずに残留したほうが良い結果となる可能性が高いケースをご紹介します。
冒頭でご紹介した辞めたくなる4つの理由のうち、事務所に対する不満だったり所長や上司に不満がある場合は一度立ち止まって考えてみる必要があります。
なぜなら、自分が正当に評価されていないとか、自分以外の別のスタッフだけが可愛がられ優遇されているという不満は、100%の事実とは言い切れないからです。

とはいえ、「3年は我慢して勤めよう」等の古い価値観を持ち出す気もありません。数字的な面で分かりやすく事務所の利益に自分が貢献できているか?と冷静に考えてみたり、仮に今辞めたとして自分の履歴書はどう見えるか?今より高待遇な事務所への転職を成功できるか?と転職活動を進めたうえで、自分の現在地をただしく知り、そのうえで残留か転職かを決めるべきということをお伝えしておきます。

まとめ

税理士事務所を辞めたいと思ったらやるべき4つのことをまとめましょう。
まずは、他の税理士事務所のスタッフが辞めようと考えた理由を知り、冷静に考えるようにします。
ただし、長時間労働や明らかなパワハラの場合は身を守るためにいそいで転職を検討すべきでしょう。
そして、どんな理由でもなるべく円満な退職になるように心がけます。
一時の感情で退職を決断するのは避けるべきで、とくに事務所や人間関係に不満をもって辞めるときは、転職をすれば本当に今の状況が好転するかを考えましょう。

また、未経験からの税理士事務所への転職と、2年以上経験を積んでからの税理士事務所への転職では選択肢の広さがまるで違います。退職だからとネガティブにならず、そういった自分にとってのプラス面を上手く使って、転職を成功させましょう。