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税理士事務所の応募資格は何が必要?資格がなくても働けますか?

この記事でわかること

  • 税理士事務所の求人の応募資格について知ることができる
  • 税理士事務所の採用で有利になる資格を知ることができる
  • 資格以外で税理士事務所の採用時に求められるスキルがわかる

税理士事務所で働く人は税理士の有資格者だけではありません。
たとえば、10人~20人規模の税理士事務所に税理士は1人だけというケースもそう珍しくはないのです。
多くの税理士補助スタッフが業務に従事することで、税理士事務所の仕事は成り立っているのです。
ここでは、税理士事務所の採用時に求められる資格や能力について解説します。

税理士事務所の応募資格は何が必要?資格がなくても働けますか?

 

税理士事務所の応募資格はさまざま

税理士事務所を開業するのに税理士資格は必須ですが、税理士事務所で勤務するのに、税理士の資格は必要ではありません
むしろ、無資格のスタッフが税理士補助業務を手伝うことで、税理士事務所の経営が成り立っていると言っても過言でないくらいです。

大手の税理士法人や専門的な税務に特化した税理士事務所などは、税理士試験の科目合格を求人の応募条件にしていることもあります。税理士有資格者のみの募集であったり、3科目以上合格といった具合です。

しかし、最近は税理士事務所の採用難の状況もあってか、税理士試験の科目合格を応募資格に設定する事務所は減っており、税理士事務所に求人応募するために特別な資格は必要ないケースが増えています。

無資格、未経験の新人を雇う税理士事務所も徐々に増えてきている印象があります。

税理士事務所採用に有利なスキル1・日商簿記検定(簿記系資格)

税理士事務所への応募資格がゆるくなっている反面、実際に採用されようと思うと必ずもっておきたい資格があります。

それは日商簿記検定3級です。可能なら2級の取得を目指しましょう。
なぜなら、複式簿記の知識がないと、税理士事務所の主要業務の1つである記帳代行が本質的には理解できないからです。

たとえば、複数の求職応募者の中で、簿記2級を保有している人と保有していない人がいれば当然、簿記資格を持っている人が優先的に採用されます。
基本的な簿記の知識が備わっている証明になるのはもちろん、会計業界で働こうという意欲の証明になるというメリットが大きいように感じます。

ですので、仮に簿記検定が不合格だった場合でも、その学習経験はアピールしたほうが良い結果につながるでしょう。

税理士事務所採用に有利なスキル2・税理士試験の科目合格

税理士の資格取得は、税理士試験の税法科目のうち5つを選んで合格する必要があります。

しかし、この5科目の合格をそろえることは簡単ではなく、仮に毎年1科目ずつ5年かけて合格する人がいたとすれば、同じ税理士の中でもかなりのスピード合格で、とても優秀と言われるレベルです。

つまり、多くの人は税理士の科目合格という途中期間を数年間経験して、5つ合格できたときに晴れて税理士となるのです。

この途中期間に意味はないかというと、税理士事務所の採用に関してはたとえ1科目だけの合格でも、かなり有利な武器となります
とくに、簿記論、法人税法、所得税法、消費税法あたりの科目合格は、その深い知識をすぐに実務に活かすことができるため、採用においても大きなプラスとなるでしょう。

こちらも簿記資格と同様、学習経験があるだけでもプラスになるため、不合格でも必ずアピールするようにしましょう。

税理士事務所採用に有利なスキル3・一般企業での経理実務経験

税理士事務所での仕事の内容は、中小企業の経理業務や給与計算と重複する部分が多いです。
そのため、企業の経理業務や給与計算に関する知識や経験があるかないかによって、業務内容の理解におけるスタート地点が大きく変わります。

多くの税理士事務所の採用の現場で、簿記資格の保有よりもずっと有利に働くことが多いでしょう。 資格は働きながら勉強すれば取得できますが、企業での実務経験を積むことはできないため、とても貴重な人材となるのです。

税理士事務所採用に有利なスキル4・コミュニケーション能力

税理士事務所の仕事は、単に記帳業務を行ったり、税金や給与の額を計算したりするだけではありません。
クライアントの会社の経営者や経理担当と連絡を取り、質問に答えたり、場合によっては経営アドバイスを求められることもあります。

この時、お客様とのコミュニケーションをスムーズに取るためには、電話やメールなどでのやり取りは欠かせません。 最近では、リモート会議なども増えており、対面での会話よりもコミュニケーション能力が問われる時代となっているように実感しているところです。

税理士事務所採用に有利なスキル5・自己学習できる性格

税理士事務所の業務のすべての大元となる税法は、毎年改正が行われるため常に勉強し理解を深めていかなければ、最新の税法に対応できなくなってしまいます。
そのため、税理士事務所で働く際には、新人もベテランも変わらず、常に勉強する必要があります

勉強するのも能力の1つであるとすれば、勉強する姿勢がない人は税理士事務所で働くことに向いていません。簿記検定試験や税理士試験の科目合格を保有していることが採用において評価されるのは、人に言われなくても自ら必要な知識を習得していける性格をプラスに捉えられているからかもしれません。

まとめ

税理士事務所の求人を見てみると、応募資格を一切必要としない税理士事務所も案外いくつか見つけることができるでしょう。
これは、業務をするのに必ずしも最初から高度な知識を持っている必要はなく、それよりも今までの職業経験や、入社後に自己努力で学習していく姿勢が問われていると言ってもいいでしょう。

また逆に、難しい資格を保有しているからといって、税理士事務所にすぐに採用されるというわけでもありません。
資格はあくまできっかけに過ぎず、それよりも協調性や自主性といった性格や意欲も採否の判断基準に大きく関わっていることを自覚して、転職活動にのぞみましょう。