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税理士事務所への転職に有利な資格とは?本当に役に立つ簿記系資格

この記事でわかること

  • 税理士事務所に入社するのに資格取得は必須ではない
  • 税理士事務所の採用にあたって有利な資格が何かわかる
  • 税理士事務所の採用にあたって、資格以外で必要なものがわかる

経理や簿記の知識を活かして税理士事務所で働きたいと考えている方はたくさんいます。
ただ、税理士事務所に入るためには何かしらの資格がないとダメだと考えて、諦めていないでしょうか。
税理士事務所に入る際に有利になる資格にはどのようなものがあるのか、そして資格がなくても税理士事務所に入ることができるのか、解説していきます。

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税理士事務所で働く際に必要な資格とは?

税理士事務所で働くためには、必ず何らかの資格が必要になると思っている人もいるのではないでしょうか。
しかし、税理士事務所によっては資格取得が必須ではない所もたくさんあります

まず覚えておいて欲しいのは、お客様と直接対応する仕事であっても、税理士資格は必須ではないということです。
最低限、税理士事務所の代表だけが税理士資格を保有していれば、業務は成立します。
また、税理士試験は科目合格制度をとっており、最終的に5科目合格したら税理士として登録できることとなるのですが、科目合格を持っていなければ税理士事務所で働けないというわけでもありません。

もちろん、税理士事務所には税理士資格がなければできない業務がありますが、そのような業務は所長が行うことになります。
とくに会計ソフトの入力など社内業務を行ううえでは、資格以上に知識と経験が武器になります。

持っていると有利な資格

資格がなくても税理士事務所の業務はできますが、税理士事務所によっては業界での勤務経験あるいは資格保有を求人応募の条件にしている所もあります。
そこで、税理士事務所で働く際に持っていると有利になる資格を知ったうえで、取得を目指しましょう。

税理士試験に関するもの

税理士になりたいと思って税理士事務所で働く場合、税理士の資格はなくても、税理士試験の科目合格を保有している場合があります。
その科目に関する知識を有していることや税理士を本気で目指していることのバロメーターとなるため、税理士試験の科目合格は税理士事務所に入る時にはかなり有利になります。

税理士試験の科目は全部で11科目あります。
その中でも実務的に必要とされるのは、会計に関する「簿記論」「財務諸表論」や、税法の中の「法人税法」「消費税法」「所得税法」「相続税法」です。
税法科目の中には、「酒税法」や「固定資産税」といった科目もありますが、税理士資格を取得するための合格科目の1つとしてはともかく、実務的にその知識を活かす場面はほとんどないため、就職・転職にあたって特に有利になるということはありません。

上記の実務で必要とされる科目に挙げたものに関しては、必ずしも合格している必要はなく、学習経験だけでも評価されることがあるため、履歴書には不合格でも書いておくと良いでしょう。

簿記資格やその他の資格

税理士試験を受験していても、なかなか科目合格にたどり着かない人もいることでしょう。
そのような場合は、税理士試験以外の資格を取得して、会計に関する知識を持っていることをアピールする必要があります。

最も一般的なのは、簿記の資格を取得することです。
税理士を目指す多くの人が日商簿記の2級や3級を受験していると思いますが、簿記の資格を保有しているだけでも税理士事務所で働くうえでは大きな意味があります。
なぜなら、簿記の知識は税理士事務所で仕事をするうえで最も必要とされるものであり、また税理士を目指す人だけでなく、会社で経理の仕事を行っている人なども保有していることの多い資格だからです。
逆にいうと、税理士試験の合格科目がなく、簿記の資格もない状態で税理士試験に入ろうとした場合、会計や簿記などの知識がどの程度あるのかを測り知ることができないため、かなり不利になると考えられるのです。

なお簿記の試験には、2級や3級よりさらに難しい日商簿記1級もあります。
ただ、1級の試験は2級の試験と比べてもかなり試験範囲が広く、税理士事務所の実務的には必要のない範囲の知識も含まれます。
1級を受けるとなると、税理士試験の「簿記論」とは異なる勉強もしなければならないため、税理士を目指す人には必要のない資格かもしれません。
税理士の受験資格に必要などの理由がなければ、実務面に限って言えば、多大な労力を割いてまで日商簿記1級を取得する必要は薄いと言えます。

そのほか、税理士事務所への採用に関して、事務所によってはファイナンシャルプランナーや社会保険労務士、行政書士などの資格をプラスに捉える所もあります。
しかし、これらはあくまで周辺資格であって、これがあるから決定的に有利という武器にはなりませんので、まずは日商簿記3級・2級を目指せば良いでしょう。

学ぶ姿勢が大切!

税理士事務所に入ってどのような仕事をするのかというイメージがわかないと、実際にどのような資格が必要とされるのかもわからないと思います。

これから税理士になろうとする人が税理士事務所に入った場合、最終的には顧問先の会社や経営者を毎月訪問して、経理に関する処理を行ったり、書類を預かって来たり、様々な相談を受けたりする仕事を任されることになります。
この時、簿記の知識がなければ伝票作成などの経理処理を行うことができませんし、税法の知識がなければ節税や申告書の作成に関する相談を受けることもできません。
そのために、会計や税法に関する知識が必要とされ、そのような資格を保有していることが求められるのです。

資格以外の能力も仕事には不可欠

ところで、税理士の仕事はパソコンに向かって書類を作成することだけではありません。
顧問先の経営者や経理担当者と実際に会って、会話をする中で不安な点を聞き出したり、今後の経営に関する相談を受けたりするのも大事な仕事です。

明るくてコミュニケーションの取りやすい性格や人柄の人材が、税理士事務所には求められます。
顧問先の担当者として、お客様から信頼を得られるのは相手の立場にたってコミュニケーションを取れる人です。
資格がいらないというわけではありませんが、資格さえあれば誰でもいいというわけでもないのです。

大事なのはこれからも学び続けるという姿勢

もう1つ、税理士事務所で働くうえで必要なことがあります。
それは、学び続ける姿勢です。

税理士事務所で働くために最低限の資格を取得していたとしても、仕事をしながらその知識を増やしていく必要があります。
中には税理士試験に関係のあるものもそうでないものもありますが、業務をするうえで学ぶことは非常に重要なのです。

また、税理士事務所で働く人の多くは、税理士になるために働きながら仕事をする道を選んでいると思いますが、仕事と勉強の両立は税理士になった後も続きます
税理士になれば勉強しなくてもいいというわけではなく、税理士になった後も様々な勉強をする必要があります。
そのような努力を積み重ねることのできる人が、税理士事務所で働くのに向いている人だということになるのです。

まとめ

税理士事務所で働く際に、持っているといい資格はいくつかあります。
ただ、そのような資格を持っていれば、どのような事務所でも仕事ができるというわけではありません。
大事なのは、顧問先の会社の人とコミュニケーションをとることのできる能力、そして学び続ける気持ちです。
顧問先の会社に寄り添うことのできる税理士を目指して、日々の努力を重ねていきましょう。