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金融機関から税理士事務所に転職した理由とは?

この記事でわかること

  • 金融機関から税理士事務所に転職しようと思った理由が分かる
  • 金融機関から税理士事務所に転職して感じたことが分かる

今回の記事は、私が弊社スタッフにインタビューした内容をお伝えしようと思うのですが、テーマはずばり元金融機関出身のスタッフに聞く「税理士事務所に転職した理由」です。

今回3名のスタッフにインタビューしたのですが、前職は皆さん新卒で、三菱UFJ銀行、モルガン・スタンレー証券、みずほ銀行と超有名企業におられた方ばかりで、僕自身も、なぜ税理士事務所に?と純粋に疑問に思ったので、その心境を詳しく聞いてみました!

1.新卒で金融機関を志した理由は?

金融機関から税理士事務所に転職した理由を聞く前に、まず、新卒のときに、なぜメガバンクと証券会社を進路に選んだのか、聞いてみました!

メガバンクに入行したスタッフの意見を聞くと、
「とにかく安定していて潰れない就職先を選びたかった」
「父親が工務店の経営者だったので、中小企業を助ける仕事に就きたいと思った。経済産業省や中小企業庁に行こうと公務員試験も受けたが、そちらは落ちてしまったので銀行に入った」
「個人のお客様に寄り添って、金融資産とかライフステージにあったお金のアドバイスができる仕事だと思った」
という理由でメガバンクを志望したそうです。

証券会社に入社したスタッフは「大学の時に、社会的責任投資について興味を持ち、投資の世界で仕事をしてみたいと思ったから」という理由でした。

実際に新卒で、有名企業の採用選考に受かってしまうのがすごいですけどね。

2.金融機関を辞めようと思った理由は?

続いて、金融機関を辞めようと思った理由について聞いてみました!

あくまで、他の業界批判をしたいわけではございませんので、ここからはメガバンク、証券会社などは細かく分けずに、なるべくインタビューしたそのままの言葉でお伝えします。

まず、金融機関で働いて楽しかったこと・良かったことは、3人とも共通していて、自分の興味ある金融のことについて、詳しく学べた、ということでした。

お金のことなので、自分の生活と無関係ではありませんから、興味深いですよね。

しかも、もともと学生時代からバリバリ勉強の成績が良かった方ばかりですので、知らないことを学ぶのが好き、っていう感じが表情からにじみ出ていました。

ではどうして、採用率も超難関で、一生安泰と言われる銀行マンの立場を、若くして手放そうと思ったのでしょうか?

 

理由は次の3点に集約されました。

1つ目は、営業ノルマが年々厳しくなっていくことです。

入社から年次が上がるにつれて収益目標も上がってきて、数字を上げるためにお客様にどんどん営業をかけないといけなくなっていくんです。

お客様に最適な提案をしようと思っても、ノルマがあるから、手数料の良い商品を勧めざるをえない。そのギャップに、自分の中ですごくモヤモヤするものがありました。

このままで、あと1・2年は頑張れたとしても、5年後、10年後の自分がイメージできなかった。ということでした。

2つ目は、仕事でチャレンジができないことです。

人事査定において重要なのは、マイナスポイントを出さないこと。なので、新しいことにチャレンジしてマイナスになるくらいなら、何もしないほうが正解、という組織の体質を感じて、前向きなモチベーションを維持できなかった。ということでした。

3つ目は、無駄な手続きが多くて、仕事が自分のためになる実感が得づらかったということです。

もちろん、ミスが許されない業務なので、理解はしていたのですが、手続きや確認作業が多く、日々自分がビジネスマンとして成長している実感が得られなかった。ということでした。

これらの理由によりこの3名は、金融機関からの転職を決意し、別の業界へ就職する気持ちを固めたのでした。

3.税理士事務所に転職しようと思った理由は?

では、金融機関からの転職先に、税理士事務所を選んだのはなぜだったのでしょうか?

 

これについては、次の3つの理由がでてきました。

1つ目は、まず、ビジネスが安定していること。需要が確実にあって、食いっぱぐれない職業ということで、専門性が高い資格業、つまり士業を選びました。

金融機関ですでに簿記や決算書を取り扱っているので、士業のなかでも税理士事務所はイメージしやすかった、ということです。

2つ目は、お客さんに専門知識を使ったアドバイスをして、その対価としてお金を頂けることです。

つまり、自社の利益のために、商品をたくさん相手に売るのではなくて、お客さんである中小企業経営者の、課題やお悩みを解決して、お客さんの役に立つことでお金をもらえるなら、モヤモヤを抱えなくて済みそうだと思った、ということです。

3つ目は、自分からチャレンジして行動していくことが評価されることです。

税理士事務所によっては、巨大で保守的な組織もあるでしょうから、これはすべての税理士事務所には当てはまらないかもしれませんが、10人未満の事務所規模が、全体の90%以上を占める税理士業界では、スタッフ1人1人の行動は、事務所全体に大きな影響を与えます。

規模が大きくて、ルールが固まっている金融機関とは組織体質がまったく違うので、若くてチャレンジしたいという人には、税理士事務所は魅力的に映るのかもしれません。

4.税理士事務所に転職してみて

つづいて、税理士事務所に転職してみて感じたことを皆さんに聞いてみました!

まず、3人とも口を揃えて言っていたのが、金融機関と税理士事務所は、仕事上の共通点が多い、ということです。

自社の金融商品を売るのか? お客さんの経営課題を解決するために一緒になって考えるのか? という最終地点の違いはありますが、お客さんとの関係性の築き方がとても似ていると感じます。

まずは、会話を交わすことで自分という人間を信頼してもらわなければなりません。
それも、ただ尽くしたり、仲良くなるということではなくて、プロとして信用してもらえる関係性を築くというのは共通点です。

もちろん、そのプロという点に、簿記や決算書の知識は含まれますし、お客さんの会社が、金融機関に融資を申し込むということもよくあるので、その時はここぞとばかりに社長にアドバイスをしています。

金融機関のお客さんも、税理士事務所のお客さんも、中小企業の経営者の方や、ある程度以上の資産家の方ですので、客層という意味でも共通点は多い、ということでした。

 

税理士事務所は、お客さんのパートナーとして、一緒に事業の成長を目指すので、金融機関時代よりも、責任感が重いと感じていて、その分、お客さんから直接感謝されることも増えました。

ただ、簿記や税法以外でも、経営者の悩み全般に向き合う必要があるので、前職よりもいろんな分野の勉強に取り組まないといけないというプレッシャーも感じています。

と、楽しそうに語ってもらいました!