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税理士事務所のアシスタントの一日

この記事でわかること

  • 税理士事務所アシスタントの一日のスケジュールが分かる
  • 税理士事務所アシスタントの仕事の辛い所・楽しい所が分かる

今回の記事は、税理士事務所のアシスタントの一日というテーマで、税理士事務所のアシスタントと呼ばれるスタッフがどんな風に仕事をして一日を過ごしているか、リアルな内容をお伝えします。

とくに、正社員やパートとして税理士事務所で働こうと考えている女性求職者の方や、税理士試験の受験生の方に必見の内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

1.モデルケース【女性アシスタント・正社員】

早速、税理士事務所のアシスタントさんの一日のスケジュールをご紹介していくのですが、今回、モデルケースとしてお話を聞かせてもらった人物は、前職は10名以下の小さな規模の税理士事務所に勤めていて、そこから弊社に転職して、現在、入社から約2年が経った、正社員の女性アシスタントの方です。
前職に入社する前から日商簿記2級を持っていたそうです。
その方の、実際の一日を詳しくインタビューしました!

ここでアシスタントという職種について一言だけ説明すると、担当者のサポート役として会計ソフト入力などの内勤業務だけをする人を言います。

前回の記事で、担当者の一日、をご紹介しましたので、今回の動画ではこのうち、税理士事務所のアシスタントの一日の仕事をリサーチしていきます!

ちなみに、アシスタントは正社員・パートともに仕事の内容はほとんど変わりませんので、どちらの働き方をお考えの方も参考にしてみてください!

2.アシスタントの午前中

午前8時45分 出社

定時の15分前に会社に到着すると、まずは7室ある応接室の机や、パーテーションのアクリル板を拭いたり除菌したり、備品の補充や整頓をして、その日一日の来客のために、部屋をキレイにします。

執務スペースにある食器棚や加湿器など、スタッフ全員が一緒に使う共用物の補充やお手入れも皆で手分けして行ない、来客の方もスタッフも全員が気持ちよく一日が過ごせるように準備をします。

午前9時 メールチェック&スケジュール管理

アシスタントは、担当者の社内作業をサポートする立ち位置ですので、必ずしも1対1でペアを組むというわけではないですが、だいたい担当者1人か2人の決まったお客様の会計入力を毎月行なうケースが多いです。

担当者は、外出が続いたりお客様と長電話したり、日中バタバタしていることが多いため、連携が取りづらい時もあります。そのため、お客様から担当者宛にくるメールや郵便物は、アシスタントが直接確認できるようにしています。

朝イチで席につくとまず、担当者宛に来ているメールを確認して、メール添付された会計資料が届いていないか? 先日質問していた会計の不明点について返事がきていないか?面談日程などスケジュールのやり取りがないか? など自分の仕事に直接関係するやり取りがないかどうかをチェックします。

担当者に依頼された仕事を、伝えられた期限までに完了する、というのがアシスタントの仕事の一歩目ですが、慣れてくると、担当者からの仕事の依頼を待っているだけでは自分のスケジュールが立てられなかったり、仕事量の多い時、少ない時が偏ってしまうことに気づきます。

担当者がお客様最優先で時間を使っていて、アシスタントへの業務の割り振りが後手になってしまうというのはよくあることですが、そうなると困るのは自分ですので、自然と、担当者が抱えるお客様ごとの特徴や、毎月の決まったスケジュールを覚えるようになっていきます。

お客様から提出してもらう資料が一部漏れているとか、毎月このぐらいの時期に面談をしているのに、今月は資料が全然来ていないとか、スケジュールを予想して、自分から前倒し前倒しで担当者やお客様に、会計資料の収集を急いでもらえるように声をかけることで、担当者にも喜んでもらえますし、自分の仕事も平準化できて効率良く進む、というわけです。

午前9時40分 会計ソフト入力

アシスタントの仕事の中心、ほとんどはこの会計ソフトの入力をすることになります。

お客様1社あたりの1ヶ月分の会計入力がだいたい4時間から、長いもので1日半くらいかかります。
なので平均的には1日に1社2社くらいの会計入力を済ませていって、毎月約25社分の会計入力をこなしていきます。

このあたりは税理士事務所ごとの客層にもよりますので一概には言えませんが、このアシスタントさんの仕訳量=会計ソフトに入力されたデータの行数は月間平均9300仕訳でした。

月9300仕訳と言ってもあまりピンと来ないと思いますし、実際、最近はこの意味合いも変わってきています。
昔は、実際に一行一行すごいスピードでパソコンから手入力していましたので、9300仕訳というととんでもない量とスピードです。

しかし、今はどれだけ入力スピードが早いか、ではなく、いかに効率よく入力するか?ということが重要になっています。

ベンチャーサポートでは会計ソフトは弥生会計を使っているのですが、追加料金を支払って「スマート取引取込」を存分に活用できるようにしています。

分かりやすい例が、銀行口座を直接連動させて、オンラインバンキングのデータを直接弥生会計に取り込んだり、エクセル、CSVファイル形式になっている集計表を一切手入力せずに会計ソフトに取り込めることですが、さらにPDFでスキャンした紙データの取込のうち、自動化できない処理の部分まで弥生株式会社に任せて、単純作業を減らせるようにしています。

これらのITツールを効率よく使いこなすことで、同じ業務量を人より早く進めることができる仕事になっています。

ただ、このあたりは入社当初から詳しい人はほとんどいないので、どの税理士事務所でも入社後に使い方をしっかり教えてもらえるものと思って安心してください。

では、ここまで効率化されていて、他に何に時間がかかるのか?ということですが、自動で取り込んだ会計データが最初から完璧であることは少なく、人間の目で見て修正を加えることが必要です。

細かい支払いをクレジットカードや電子マネーで決裁するお客様も増えていて、そのレシートが二重になっているのを除外したり、生活費と経費を分けずにぐちゃぐちゃのまま資料を送ってくるお客様ですと、生活費をデータから除外していかなければなりません。

午前11時30分 昼食

正午になるとランチのお店が混みあうので、少し早めにランチにでます。

お弁当を持ってきて、オフィスのデスクでパソコンを見ながら食べる人も多いです。

食べ終わったら近くの席のスタッフ同士で話したりしています。

3.アシスタントの午後

午前12時30分 会計ソフト入力

アシスタントの仕事は、午前に引き続き会計ソフト入力が中心です。
知識や経験次第では、月次報告書の作成や、決算書の作成まで自分でできてしまうアシスタントもいます。
そこまで担当者をサポートできるようになれば、どの税理士事務所でも必要とされる価値を身につけたと言えるでしょう。

基本的には退社時間になるまで、この会計ソフト入力を続けるのですが、ここではアシスタントの仕事のうち、会計ソフト入力以外のものをご紹介します。

弊社ではオフィスの運営に必要な業務を、当番制で割り振っています。
1つのオフィスに50名以上いる弊社ならではの業務もありますが、来客当番や電話当番は小規模な事務所でもアシスタントが交代でやることが多いでしょう。

来客者の受付とお茶出しをする来客当番、代表電話にかかってきた電話を担当者につなぐ電話当番、求職者の応募や面接日程の調整をする採用係、オフィスの備品を管理し発注などをする備品係、法人設立したお客様の税務署への届出書を作成する設立係などがあります。

これら、会計ソフト入力とは別の役割は、毎日数回、急な対応を求められるので、結構集中して作業できていた時も、中断される悩ましさがあります。
一般的なイメージよりも、大切で大変な仕事なので、アシスタントの方はとても重要な存在と考えています。

退社時間が近づくと、朝もやったように仕事のスケジュール管理をしていきます。

急ぎの仕事は何か?
作業が中断している原因を解消できているか?
担当者や、その先のお客様へ動いて欲しいことが伝わっているか?

ただ目の前の会計ソフト入力を進めるだけではなく、明日明後日に自分が何をするか?
数日後に自分が一番困るのはどういう状況かを想像して先回りして動くことが大切な仕事です。

午後6時30分 退社

自分が今日一日で、どの会社の会計を、何時間入力したか等を日報メールを書いて、今日はこれで帰ります。

時期によっては年末調整や確定申告など、いつもの会計ソフト入力とは違う業務を手伝うこともあります。

4.仕事で気をつけていること

今回、モデルケースとしてお話を聞かせてもらった弊社に入社して2年が経った女性アシスタントさんに、せっかくなので税理士事務所のアシスタントの仕事についてインタビューしてみました。

この仕事で日々気をつけていることは、スタッフ同士でお互い助け合うことです。

電話当番の日でも、自分が別のことをしていてすぐに電話を取れない時もあります。

だから、自分が当番でない日も積極的に手伝って、全員が協力しあう働きやすい環境を作ることを心がけています。

会計ソフト入力については、忙しい担当者をできるだけ捕まえて、何度も確認をするということを心がけています。

担当者の細かい指示を確認せずに、自分で進めてしまうと、何時間もの作業がムダになってしまう時もあります。

そうならないように、自分から積極的に「こう進めていって問題ないですか?」という質問をなるべく多く声掛けするようにしています。

そして、会計資料の集め方をもっとこうしてくれれば、作業がとても早くなる、ということも積極的に伝えていっています。

もちろん、お客様がどうしても動いてくれなかったり、取引の都合上、複雑な資料になってしまうこともありますが、伝えて改善することもあるので、担当者とどんどんコミュニケーションをとっていくことが、仕事の効率や、自分の能力を高めることに繋がると思います!

5.仕事の辛い所・楽しい所

税理士事務所のアシスタントをしていて辛い所は、あんまり考えたことはなかったですが、さっきもお伝えした、この会計資料のもらい方を工夫すればすごく作業が効率的に進められるのに、 お客様にご協力頂けなかったりして、業務に時間がかかってしまうことです。

どうせ仕事をするなら、効率的なやり方でバリバリ進めていけたほうが楽しいですからね。

税理士事務所のアシスタントの楽しい所は、ふるさと納税をしたりして、自分でも節税を考えられるようになったこととか、昔より性格がちょっときっちりしてきたということですね。

この業界で働く前は、説明書とか絶対に読まないタイプだったんですが、この仕事で何度も、ちゃんと書いてるから、ちゃんと読んでって指導され続けたおかげで、私生活でも説明書きとかを読むようになって、読んだら読んだで、「あ、ちゃんと書いてる!」って思えるようになったんですね。

パソコンでエラーが出た時のメッセージとかもちゃんと読むようになったので、そういう性格の一部がちょっと変わったのが嬉しいです。

あとは、仕事をしていて、取引の入力方法とか、消費税の取り扱いとかを教わるのも好きで、周りで働く皆が色んなことを知っているからすごいなーと思っています。

もし、このインタビューを見てくれている方の中に、自分は性格的にきっちりしてないから、税理士事務所で働くのはムリかなーと思っている方がいたら、自分がもともと全然そんなことなかったので、安心して欲しいと思いますね

と、こんな風にインタビューに答えてくれました。

効率的に働くことに前向きですし、協調性を持って働いてくださっているので、周りで一緒に働く人も気持ちいいと思える方だなーと思いながら聞いていました。