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日商簿記1級は必要か?

税理士事務所の実務で役立つという意味で言うと、日商簿記2級の商業簿記さえマスターできれば知識としては十分で、それ以上は実務を経験しながら身につけていけばよいレベルと言えます。

2級合格のためには、商業簿記以外に工業簿記も学習しなければなりませんが、多くの税理士事務所において工業簿記の知識を実務で使うことはあまりありません。

つまり、3級に合格して2級の商業簿記を学習すれば、仕事で使う知識は一通り得られるということです。

ただし、採用選考において3級より2級保有者を優遇する税理士事務所は一定数存在しますから、その意味では2級合格を一つの目標として学習するのは有益だと思います。

 

では、日商簿記2級に合格した後、さらに1級の取得を目指すべきでしょうか? 結論から言えば、1級合格を目指す必要はありません。1級を目指す必要があるのは、税理士資格を取りたい人のうち、「大学、短大、専門学校等の卒業者で、法律学または経済学を1科目履修していること」という学識による税理士試験の受験資格を満たしていない人だけでしょう。

税理士試験の受験資格は、学識によるものと職歴によるものを除くと、「日商簿記検定1級合格者」もしくは「全経簿記検定上級合格者」の資格取得が必要となるからです(※令和5年〈2023年〉から受験資格要件の緩和が決まっています)。

すでに税理士試験の受験資格を持っている、あるいは税理士試験を受験するつもりがないという人が1級を取得するメリットはかなり少ないように思います。

とくに税理士試験の受験資格を持っている人であれば、1級を受験するよりも税理士試験の簿記論や財務諸表論の合格を目指すほうがよほど価値があります

工業簿記や原価計算等、実務であまり使わない範囲を学習する手間が省けるだけでなく、就職できる税理士事務所の選択肢が広がり、税理士資格の取得に近づけるなど、1級にはないメリットがたくさんあるのが、税理士試験の簿記論、財務諸表論の学習をお勧めする理由です。