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税理士事務所のリアルな年収

税理士になると年収はどのくらい稼げるのでしょうか? 年収の実態を知るにあたって2点、業界特有の数字の見方を覚えてください。

一つは、税理士の登録方法には3つの種類があり、その分類によって年収が大きく異なるということです。

もう一つは、このような書籍やインターネットでよく紹介される年収は「税理士有資格者」の年収であって、多数派とも言える「税理士資格を持たないスタッフ」の年収は、これまであまり明らかにされることがなかったということです。

本書ではこの2点を踏まえて、他では知ることのできなかったリアルな年収事情をお伝えします。

 

所属税理士の年収の全国平均のグラフ

税理士は登録時の分類によって開業税理士、社員税理士、所属税理士の3つに分かれます。このうち、いわゆるサラリーマン的な働き方に近いのが所属税理士です。

所属税理士の年収の全国平均は597万円です。上位約26%が年収700万円以上、上位約7・4%が年収1000万円以上となっています(日本税理士会連合会調べ)。

 

社員税理士の年収の全国平均のグラフ

続いては社員税理士です。 社員税理士とは、税理士法人の「パートナー税理士」「役員」と呼ばれる人のことです。税理士法人の代表者も「代表社員」という肩書ですので、いわゆる創業者税理士もここに含まれます。いずれにしてもその税理士法人の意思決定に影響のある幹部税理士と思ってください。

社員税理士の年収の全国平均は886万円です。上位約38%が年収1000万円以上、上位約17%が年収1500万円以上となっています(日本税理士会連合会調べ)。

開業税理士とは、個人事務所を開業している所長のことを指します。

開業税理士は稼げている人と稼げていない人の二極化が激しく、年度ごとのバラつきも大きいです。さらに、給与収入ではなく事業収入なので、上記2つのデータと単純比較できるものではないため、ここではデータを割愛します。

経営が軌道に乗れば、当然、所属税理士や社員税理士よりも高い収入を得ることができますが、長時間労働になる傾向が高く、さらに経営を安定させることも簡単ではありません。

令和3年(2021年)現在、所属税理士は1万1545人、社員税理士は1万1461人。対して開業税理士は5万6398人が登録されています。

 

では次に、税理士資格を持たない、税理士事務所の一般的な正社員の年収を見てみましょう。

税理士事務所の一般的な正社員の年収

税理士事務所スタッフの年収の全国平均は473万円です(求人ボックス調べ/更新日:2022年3月31日)。ハローワークその他の求人媒体のデータを調べても誤差は少ないので、かなり実態に近い数字と思われます。

先ほどの税理士有資格者と比べると平均値も低く、上位層も少なくなっています。年収600万円を超えるあたりからガクッと減っています。

ただ、年収700万・800万・900万円を超える人は少ないものの、0とはならずに右側に伸びており、一定数は資格に関係なく高収入を稼いでいることが見て取れるデータではないでしょうか。

 

これから税理士事務所に就職・転職するという方のために、初任給の相場も見てみましょう。

税理士事務所の正社員の初任給は、税理士業界の経験があるか? 税理士試験は何科目合格しているか? という2つの要素ではっきりと相場が変わります。

地域差はもちろんありますが、未経験かつ科目合格がない人の初任給は8割以上の事務所が月給18万~25万円でした。

未経験でも科目合格があると月給18万~30万円と幅が広がります。下限が変わらないのは、募集要項上で明示がないためですが、実際に内定となった時の条件提示では2万円以上の違いをつける税理士事務所も多そうです。

業界経験者の初任給となると、科目合格の有無よりも経験年数と経験の質によって、どの事務所もかなり幅を持たせています。月給25万~35万円あたりの記載が多いですが、幹部候補募集等それ以上の条件での応募も少なくありません。

未経験者には年齢制限があることが多いですが、経験者の募集には年齢制限がなく、年齢に応じた経験を積んでいればかなり転職しやすい業界であると言えるでしょう。