税理士事務所の就職・転職情報サイト

会計業界で就職や転職を考えている人向けに会計事務所の実態をリアルに書いていきます。

公認会計士vs税理士 どちらを目指す?

この記事でわかること

  • 公認会計士と税理士の試験制度の違いが分かる
  • 公認会計士と税理士の合格者像の違いが分かる
  • 公認会計士と税理士の仕事内容の違いが分かる
  • 公認会計士と税理士の年収の違いが分かる

この記事は、公認会計士VS税理士、どちらを目指すべき?というテーマで、これから公認会計士試験、税理士試験の受験しようかどうか迷っている人、簿記3級、2級に合格して次の資格へステップアップしようと考えている人は、ぜひこの動画を最後までご覧ください!

【公認会計士 VS 税理士】1.どちらを目指すべき?

今この記事をご覧のあなたが、公認会計士になろうか、税理士になろうかと迷っているのであれば、ずばり、僕が勝手に考案したこちらの表を参考にしてください!

公認会計士になろうか税理士になろうかと迷っている人への表

まず、一番の軸は年齢です。

23歳以下か、24歳以上か。24歳以上の方は全員、税理士を目指して下さい!
個人個人の事情もあるため、かなり極論であることは承知の上ですが、24歳以上の方には税理士の資格をオススメします!
理由は後ほど説明します。

そして二番目の軸は、難関資格に一発合格する自信があるかどうかです。
23歳以下の方のうち、絶対に自分は受かる自信がある、3年間死ぬ気で勉強する覚悟があるという方は、公認会計士を目指しましょう!

逆に、23歳以下の方でも、受かるかどうか自信がない、合格か不合格の一か八かの博打をしたくない、という方は税理士を目指したほうが良いです!

表には、堅実志向、挑戦志向と書いてありますが、ちょっと書き方が難しかったからこう書いているだけで、僕が本当に思っているのは、難関資格に受かる強い自信と、あとは強いコンプレックスを抱えてるかどうか?だと思います。

3年間毎日勉強を続けるのは、普通の神経では無理です。ただ勉強時間をこなすだけなら環境次第でできるかもしれませんが、合格する人が、その毎日毎日の勉強時間に何を考えているかというと、「絶対合格してやる!絶対覚える!絶対ミスしない!」と何らかのコンプレックスとか、強い想いからくる特別な集中力を発揮していると僕は思っています。

ちなみに23歳以下の方で、そういう普通では発揮できない覚悟を発揮できる方は公認会計士を目指しましょう!と言いましたが、税理士試験でも、合格するために必要な熱量は、同じです。税理士試験なら、だらだら勉強を続けさえすれば合格に近づいていく、みたいな説明に聞こえたかもしれませんが、全然そんなことはなく、どちらも難関資格なので、必死の覚悟がないと合格までたどり着くことはカンタンではありません。

【公認会計士 VS 税理士】2.試験制度の違い

公認会計士を目指そうか、税理士を目指そうかの判断基準を、年齢と自信の有無だけで決めるなんて間違ってる!

という意見が聞こえてきそうですが、たしかにその通りで、自分の一生の職業を決める大きな選択なので、本音としては仕事内容をしっかり調べてから決めるべきだと思います。
それを分かった上で、年齢と自信の有無で決めましょうと結論づけたのは、今から説明する、会計士試験と税理士試験の試験制度の違いがあるからです!

まず、公認会計士試験。
僕自身は受験した経験がないのですが、会社法、管理会計論、監査論、財務会計論の4科目からなるマークシート方式の試験、短答式試験というものが年に2回実施されています。合格率はだいたい15%前後です。

短答式試験に合格すると次に論文式試験といって、短答式の4科目に加えて租税法と経営学の2科目を加えた記述式の試験が年に1回だけ実施されています。合格率はだいたい35%前後です。

経営学は必須科目ではなく、経済学か民法か統計学を選んでも構いませんが、ほとんどの受験生は学習範囲や興味の面から経営学を選ぶことが多いようです。

短答式試験の合格には2年間の有効期限があって、同じ年の論文式試験で一気に合格できなかった場合でも、翌年、論文式試験だけに集中して勉強でき、もしそこで落ちてももう1年は論文式試験だけに専念できます。

スリーストライク三振、してしまうとまた短答式試験から受けなくてはならないという制度で、これがすごく特徴的です。

学生とか働いていない期間で一気に合格を目指して、一度、短答合格の有効期限が切れてしまえば、そこで会計士資格はあきらめるという人もたくさんいます。

これが、会計士試験は最終的に資格が取れないリスクが大きいといわれる原因です。

 

いっぽう、税理士試験の一番の特徴は科目合格制です。

税理士試験は、簿記論、財務諸表論、法人税法または所得税法、の必須3科目と、残りは選択2科目の合計5科目に合格すれば税理士になれるのですが、1度合格した科目は一生有効期限が切れることはありません。

 

合格までに必要な学習時間数は、公認会計士も税理士も最低2500時間~4000時間とも5000時間とも言われるのですが、公認会計士はこれを約3年の間に6科目一気に勉強して、合格までを狙う試験、逆に税理士は1科目600時間程度の勉強時間でも合格を狙えるので、たとえば働きながら、複数年に分けて5科目合格を狙える試験となっています。

約3年のまとまった学習時間が必要か、複数年にまたがった細切れの学習時間でも合格できるか、という大きな違いがあります。

 

また、税理士試験には受験資格があるため、大学で単位を取得して3年になってから受験するか、難関と言われる日商簿記1級を合格するか、しなければ、大学1年2年の間は受験ができないという問題もあります。

その点、会計士試験は受験資格がないので、いつでもすぐに試験勉強を開始することができます。

 

会計士の試験を受けたことがないので、ハッキリとは分かりませんが、会計士試験は、思考プロセスが問われるのに対し、税理士試験は、丸暗記やミスなく計算することが求められます。

会計士試験はセンスが問われ、税理士試験は努力が問われると言われるのは、こういった試験内容の違いによります。

また、公認会計士の資格を取ってしまえば、申請するだけで試験なしに税理士の資格も登録できるため、一般的には、公認会計士は税理士の上位資格と知られています。

税理士の僕が、それについてどう思うか?というと、上位資格であることに間違いはないと思いますが、将来的に、資格を使って税務に関する仕事だけをするなら、税金のことばかり勉強してきた税理士のほうが詳しいかな、というぐらいの印象で、あまり気にしたことはありません。

【公認会計士 VS 税理士】3.合格者像の違い

続いて公認会計士と税理士の、それぞれの合格者のデータを比較してみましょう!

公認会計士と税理士の合格者年齢

令和2年の公認会計士の論文式試験合格者は1335人でした。合格者の平均年齢は25.5歳と非常に若いです。

これに対して令和2年の税理士の5科目到達者は648人でした。合格者の過半数は35歳以上で、平均年齢は40歳前後です。

このグラフを見ると、公認会計士は合格者の8割が30歳未満であるのに対し、税理士の合格者は8割が30歳以上で真逆となっています。

 

合格者の年齢のデータは単なる結果なので、このデータを見て、若い人は公認会計士を目指し、そうでない人は税理士を目指せ、と言いたいわけではないので、そこは勘違いしないでください!

20代後半や30代になると、勉強だけに専念するわけには行きません。難関資格の有無よりも、現実的に実務経験が求められる年齢となってくるからです。

社会人経験や実務経験を積まずに30歳、35歳となると今度は就職先に困ってしまいます。結婚や子育てなど、生活環境が変わって勉強に集中できなくなることも考えられます。

そういった勉強以外の状況を考えると、一度合格した科目は一生有効となる税理士の科目合格制というのが、年齢とともに、とても大きなメリットになってくるというわけです。

 

次にそれぞれの合格者の学歴を見てみます。

公認会計士と税理士の合格者学歴

公認会計士は、合格者のうち41%が大学卒、ほぼ同じ割合で大学在学中となっています。

まとまった学習時間が取れる大学在学中に試験に挑む人が多く、合格者のほとんどがBIG4と呼ばれる大手監査法人に就職していきます。

一方、税理士は合格者のうち80%が大学卒、ただ残りの20%は高卒や専門学校卒の方もいるのが特徴的です。実際弊社でも、簿記専門学校卒の税理士が数名います。

大学在学中とか卒業後数年で合格して、大手監査法人に勤めるエリートサラリーマン的なイメージが公認会計士で、街の税理士事務所で働きながら何年も受験を続けて、30代で合格するベテラン努力家的なイメージが税理士です。

 

私がこれまでにお会いした会計士の方は、税務や財務に留まらず、まったく別のビジネスを立ち上げたり、税理士事務所を経営しながら、別のコンサル的なサービスを行なったり、多彩なキャリアを持つ方が多かったです。
監査法人にそのまま残ってパートナーまで出世されている方もいます。

こう聞くと、公認会計士のほうがすごく良いイメージに聞こえるかもしれませんが、税理士も魅力的な方ばっかりです!独立して自分の事務所で自由に働いている方もいますし、税理士事務所に勤務して、実務のプロフェッショナルとなっている方もいます。

税理士の特徴は、たくさんの中小企業の経営者の知り合いがいて、そういう方の懐に入り込むのが上手いというか、経営者のパートナーとして、本当に信頼されて働いている方が多いなーという印象です。

【公認会計士 VS 税理士】4.仕事内容の違い

公認会計士を目指すか、税理士を目指すか、これまでは、年齢や試験制度といった外枠から比較してきましたが、いよいよ会計士と税理士のそれぞれの本質、仕事内容の違いについて見ていきましょう!

公認会計士の独占業務は監査です。

監査とは、企業が作成した決算書が適切かどうかを、会社とは関係ない第三者がチェックすることを意味します。

とくに上場企業などは、投資家に対して経営状況を正しく数値化して報告しなければなりません。

その第三者が監査法人であり、公認会計士というわけです。

一方、税理士の独占業務は税務相談です。

事業を営んでいる人は、個人事業主も法人も、毎年税金を自分で計算して納めなければなりませんが、1年間の利益を正しく計算することや、そこから正しい税額を計算することはとても複雑で難しいため、税理士に代行してもらうことがほとんどです。

監査と税務相談という仕事内容の違いを、皆さんにも分かりやすく解説すると…

客層と立ち位置が大きく違います!

監査法人、つまり公認会計士のクライアントは主に上場企業です。

上場企業が作成した決算書などが、正しいかどうか?嘘をついていないか?粉飾決算じゃないか?をチェックして、最終的に、数字が正しいことを証明するのが仕事です。

クライアントとは味方でも敵でもなく、独立した第三者として仕事を進めます。

一方、税理士のクライアントは中小零細企業の社長です。

事業の1年間の取引を数字に落とし込んで報告し、税金を計算します。

税理士は企業の業績が良くなるように経営者の味方となって一緒に知恵を絞りますし、節税のアドバイスなども求められます。

業務上、業績の良し悪しもすべて見えてしまう立場なので、社長にとっては、取引先にも従業員にも打ち明けられない自分の悩みを打ち明けられる貴重な存在として、一緒に飲みに行ったりするぐらい、近い距離で接することも多いです。

 

本当はこの仕事内容の違いを見比べて、自分の将来像により近い資格を目指すことが、モチベーションも上がる最良の方法だと思います。

とはいえ、どちらもそうカンタンに合格できる資格ではありませんので、3年・4年以上かかることを見越した現実的な作戦ということになると、やはり、仕事内容だけでなく、年齢や試験制度との相性は見過ごせないと思っています。

【公認会計士 VS 税理士】5.年収の違い

最後に、公認会計士と税理士の年収の違いを見てみましょう。

公認会計士と税理士の年収の違い

どちらも独立開業しやすい資格ですが、税理士は税理士事務所を経営しているケースがほとんどです。

公認会計士も基本は税理士登録をして、税理士事務所を経営している方が多いですが、まったく別のビジネスで事業会社を立ち上げている方も多い印象です。

独立開業した場合の年収はその人次第ですので、ここでは、勤務していることを前提に比較してみましょう。

公認会計士は合格後、大手監査法人に就職することが多いです。初任給でも年収500万円くらいあって、30歳を超えたあたりで年収1000万円にも手が届くということです。

ずっと監査法人に勤めていれば、年収1000万円~2000万円のエリートサラリーマンという感じですね。

それに対して、税理士は5科目合格する頃にはもうどこかの税理士事務所で働いていることが多いです。

割合的には、日本全国の税理士事務所のうち9割以上がスタッフ10名未満の規模なので、そういった小さな事務所だと、35歳で合格して年収が600万~700万円くらいに上がるかな、という感じでしょうか。

同じ状況で、都内の大手税理士法人なら700万~800万円はもらえそうです。

ただ、税理士事務所の年収は実務経験と連動することが多いので、たとえば若くして25歳未経験で5科目合格しました、という人もBIG4と言われるような税理士法人に就職しない限りは、年収300万円・400万円代からスタートすることが多いと思います。

こう聞くと、会計士より税理士のほうが条件がだいぶ悪いように思うかもしれないですが、個人的に、税理士の年収も良いですよ、と思う点は、税理士事務所ってスタッフ一人一人、自分が稼いでいる売上が目に見えやすいので、勤務先によっては、稼いでいるスタッフの年収をそのまま上げてくれる所もけっこうある、ということです。

そしてもう1つ、税理士の良い点は、5科目合格していない、税理士試験の受験中でも就職先がたくさんあるし、実務経験さえ積めば年収も上がっていくということです。

公認会計士のように、資格がスタートを切る条件になるわけではなくて、受験勉強の途中経過が評価されやすく、それが年収にも反映されやすいという、目指すことにリスクの少ない資格が税理士ではないかなと思います。

お伝えしたい事

今回、公認会計士と税理士の資格を比較しましたが、本当に伝えたいのは、どっちの資格も素晴らしいということです。

合格という分かりやすい目標をもつことで、毎日が充実しますし、それが間違いなく将来の自分のためになるからです。