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税理士と税務署の関係性は?

税理士業界を未経験の方には、税理士と税務署の関係性がイメージできない人が多いのではないでしょうか?

税理士の仕事は、税務署がないと成り立たない側面があります。

普段の仕事で一番多く接する外部機関は税務署です。

毎月の申告書を提出するのも税務署ですし、たくさんの届出書を提出もします。

ところが税務調査のときには、強敵として立ちはだかります。

税理士と税務署は敵なのでしょうか?

今回は税理士と税務署の関係性について、実際のところをお伝えしたいと思います。

税務署│税理士と税務署の関係性は?

税理士は国税庁の監督下にある

税理士の監督官庁は国税庁です。

国税当局の組織は、ざっくり言いますと「財務省→国税庁→国税局(全国12ヶ所)→税務署(全国524ヶ所)」となっています。

税理士が不祥事を起こしたときなどは、懲戒処分は財務大臣の名前の下で、国税局が行います。

税理士試験は国税庁の管轄で実施されています。

このように考えると税理士は税務署などの国税当局の支配下にあると考えられます。

では実際のところはどうなのでしょうか?

実は日常では税理士と税務署は、敵味方という感覚もなくフラットな感じで仕事を進めていきます。

税理士が税務署に行くこともよくありますし、電話で話すこともあります。

敵でも味方でもない、上でも下でもない関係です。

ときには助け合うこともあります。

毎年2月~3月の確定申告の時期、税理士が当番制で税務署で納税相談をすることになっています。

税務署があまりの忙しさで手が足りなくなるからです。

逆に解釈が難解な税法の取り扱いは、書面で質問をすれば税務署が回答をしてくれます。

届出書に不備があったときなども、税務署から電話で知らせてくれることもあります。

このように、普段は税務署に対しては穏やかな関係でいます。

税理士は税務調査で税務署と戦う

ですが、税務調査のときには、税理士と税務署の関係は上記のような穏やかな関係性ではありません。

お互いが戦闘モードです。

税理士がお客様から期待されている仕事の中でも、「税務調査で守ってほしい」という期待は非常に大きいものです。

「たくさんの税金を追加で取られたらどうしよう」
「取り調べのような調査をされるのだろうか?」
「長い時間、ストレスにさらされるのは嫌だ」

こういった不安を経営者はみなさん持っておられますし、この不安から守ってくれるのが税理士なのです。

税理士としての信頼を勝ち取るためには、税務調査で毅然とお客さんの側に立って税務署と戦う気概、姿勢が必要です。

ときには理不尽と思える指摘もありますので、税理士としても舐められるわけにはいきません。

納税者の代弁者として、粘り強く主張します。

税務署側も、いわゆる「役所仕事」のように税務調査は行いません。

税務署の職員は、税務調査でいくら税金を取れるかが自分の出世に関わるのです。

民間で言えば、営業マンが高い金額で契約を取れるかを競うようなものです。

税理士と税務署の交渉は、ときには感情を露わにしながら進めることもあります。

お互いに引けない戦いだからです。

人が良いだけでは税理士はできないのです。

税務調査官のリアル

このように考えると、税理士と税務署の関係は不思議なものです。

ときに戦い、ときに協力しあう。

では税理士は税務署の職員にどう接すればいいのでしょうか?

ひとつの答えとして、「相手の立場を考えて使い分ける」という方法があると思っています。

「税務署の職員も勤め人。家に帰れば良いお父さん」です。

その立場の人たちですから、根っからの意地悪でもない方が多いのでしょう。

なかには税の公平のために仕事をしているという正義感で動く人もいます。

そういった立場の違い、考え方の違いを理解した上で、税理士は納税者の代弁者として納税者を守ります。

言葉遣いや態度は丁寧でも、譲れないことを伝えて交渉する。

お互いが交渉の妥結点を見出すことを目標に。

えてして、そういう交渉をした時の方が、結果が良くなったりします。

今回は税理士と税務署の関係性について、お話をさせていただきました。

税理士の仕事のイメージの一助にしてもらえると幸いです。