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税理士事務所のお客様対応のポイント

この記事でわかること

  • 税理士事務所の業務分担が分かる
  • お客様対応で大事にしたいポイントが分かる
  • 採用面接で「コミュ力が大事」な理由が分かる

この記事は、税理士事務所の仕事で、お客様と直接対応する時に覚えておいてほしいことというテーマで、弊社が実際に、新人スタッフへの教育現場でお伝えしていることを動画にして公開します!

これから税理士事務所に就職しようという方や、税理士事務所の新人スタッフとして日々お仕事を頑張っておられる方には、とくに必見の内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

1.税理士事務所の業務分担

税理士事務所の業務分担

今回の動画では、税理士事務所の仕事のうち、業務内容そのものではなく、お客様との対応の仕方に着目して、大事なポイントをお伝えしていきます!

この話の前提として、税理士事務所の業務分担についてカンタンに説明します。

税理士事務所のスタッフは、所長税理士とか、オフィス代表のような経営陣を除くと、一般的には、大きく2つの職種に分けられます。

それが、担当者とアシスタントです。
これは、税理士の資格をもっているかどうかとは関係がありません。資格を持っていない担当者もいますし、資格を持っているアシスタントもいます。

担当者とは、お客様を担当しているスタッフのことを言います。
担当というのは、お客様と直接お会いしたり電話のやりとりをする、お客様にとってのサービスの窓口となる人を言います。

そのお客様、法人であればお客様企業の毎月や毎年の業務を漏れなく、責任を持って期限内に終わらせるのが担当者の仕事です。
お客様に直接感謝されることもあれば、叱られることもある仕事です。

一方、アシスタントはその担当者をサポートするスタッフのことを言います。

基本的に、お客様と直接やりとりをすることはなく、毎日、税理士事務所の社内で、担当者から依頼された仕事を、パソコンを使って進めていきます。

アシスタントの方でも、業務内容の理解度が高く、スケジュールも自分で管理できるようになってくると、どの税理士事務所でも、希望すれば担当者になれると思います。

今回の動画は、お客様と直接対応するときに覚えておいて欲しいこと。ですので、担当者の業務に絞ってお伝えしていきます!

2.お客様対応で大事にしたいポイント

お客様対応で大事にしたいポイント

税理士事務所の担当者に求められる、仕事の最低限のレベルは、担当するすべてのお客様の毎月や毎年の業務を漏れなく、期限内に行なうことです。

これが漏れてしまったり、期限に間に合わないと仕事のミスということになってしまうので、そうならないように、業務を管理し、予定通りに仕事を進めていく必要があります。

一方、お客様対応という側面から見た、仕事の最低限のレベルはクレームを受けないということです。

こうお伝えすると、ずいぶんネガティブで、低い目標設定に思うかもしれませんが、私たちの仕事は命の次に大事と言われる、お客様のお金を扱う仕事ですので、責任が重く、ひとつのミスでお客様に迷惑をかけてしまうことがあります。

とくに新人担当者にとっては、お客様を満足させるということ以前に、お客様からクレームを受けないということは、とても重要なポイントです。

そのためにはまず、税理士事務所に寄せられるクレームの傾向を知っておきましょう。
税理士事務所は一般的なお店、と違って専門的なサービスを提供しているため、

  • 金額の計算を間違えてお伝えした
  • 難しい質問に即答できなかった

という実務の知識不足からくるクレームが多そうに思うかもしれません。

実際にそういうクレームがない訳ではありませんが、それよりも4倍、5倍以上多いのが、

  • 連絡が遅い。放置されている

とか、理由も特に伝えられないまま、突然、税理士の変更を告げられるケースです。

これらのクレームをよく分析すると、お客様の不満の大半が「毎月お金を払っているのに、自分が大事にされていない」ということに集約されます。逆にここさえケアできれば、クレームの8割は防ぐことができます。

これを担当者の教育に置き換えて、弊社では、知識や実務面を少しずつ覚えていってもらうと同時に、お客様を大切に扱う対応、を意識して身につけていってもらっています。

すこし具体例を挙げると、

  • 会計資料を預かったタイミング
  • 顧問料を入金して頂いたタイミング
  • 期日前の納税確認のタイミング

税理士事務所の仕事では、必ずお客様に連絡を取るべきタイミングが存在します。

この細かい連絡を、どれだけ忙しくても絶対に怠らないということがお客様対応の一歩目になります。

 

ところで、今回なぜこの税理士事務所のお客様対応のポイントというテーマを動画に選んだかというと、実は今お伝えした内容は、今まで弊社内で、新人担当者全員にしっかり伝えていたんですね。

ただ、全国各地のオフィスで未経験から入社する人数が増えたこともあって、これを研修として単に伝えるだけでは、担当者の対応にばらつきがあって不十分だということに、気づき始めたんです。

どういうことかと言うと、たとえば担当者からお客様に、「明日が納税の期日になりますが、もう納税はお済みですか?」と電話をしたとします。

この電話の意図はもちろん、お客様が期日までの納税を忘れてしまうと、延滞税が発生してしまったり、期限に遅れたという履歴が残ってしまうので、そうならないように配慮した気遣いの連絡です。

しかし、新人担当者に、これを必ずやりましょう、と義務のように伝わってしまうと、納税確認の連絡を受けたお客様が、自分のことを心配してくれた。というより、この担当者は会社の業務としてこの連絡をやらされているんだな、と察せられることがあります。

研修だけでは伝わらない、言語化しづらい、お客様への気遣いの部分が大事だということを、改めて社内研修として伝えているのが現状です。

3.採用面接で「コミュ力が大事」な理由

採用面接で「コミュ力が大事」な理由

就職・転職活動で、とくに面接でコミュ力が大事っていう話は税理士業界に限らずに聞きますよね?

たぶん、求職者の皆さんからすると、このコミュ力って言葉は大嫌いなんじゃないかな、と思います。

コミュニケーション能力が何を指すかもよく分からないのに、面接で不採用にされたら自分のコミュ力が低い、と言われたみたいで良い気分はしないんじゃないでしょうか。

なので、税理士事務所が言う「コミュニケーション能力が大事」というのが具体的にどういう意味かを解説します。

お客様対応の例でいうと、同じ内容でもお客様に気分良く伝えられる言葉をチョイスできたり、お客様を気にかけて心配していることが伝わる声色や雰囲気を出せる。これがコミュニケーション能力だと思います。

そして、税理士事務所は、数ある税理士事務所のなかから、自社を選んで契約し続けてもらうサービス業としての一面もありますので、お客様に気分良くいてもらうというのは、専門知識や実務能力にひけを取らないぐらい大事な要素なんです。

とくに、人材採用という目線で見ると、専門知識や実務経験は時間をかければ成長していく人がほとんどですが、この、配慮や気遣いをもって他人と接するということは、時間をかけて伝えてもなかなか改善しないという特徴があります。
できる人は入社時点からほぼ完璧にできます。

そういう理由から、税理士事務所に限らず、実務経験や資格や学歴よりも、コミュニケーション能力を重視して採用する会社が存在しているのです。

4.VS流・新人担当者への教育法

税理士事務所の仕事においても、お客様への配慮や気遣いはとても大事です。

そして、配慮や気遣いはそのスタッフの個性とも言えるもので、教育で伸ばしていくことが難しいという印象があります。

ただ、それでも新人担当者が一人前に成長できるように、電話での言葉のかけ方や、メールの文章なども一人ひとり細かく指摘して、より良い対応ができるように学んでもらっています。

もともと気遣いができる担当者はさらにお客様に気に入られて、お客様がファンになってくれるぐらい満足してもらえるように。

そこまで気遣いが得意でない担当者も、お客様を最低限不安にさせないコミュニケーションを身につけてもらえるように、学んでもらいます。

 

お客様に、期日前の納税確認の連絡をするという先ほどの例をとると、この納税確認の連絡の意図もしっかりと伝えるようにしています。

先輩に言われて、やらないと叱られるからやるのではなくて、この連絡はお客様との貴重なコミュニケーションのタイミングであること。

納税が遅れてしまうと延滞税がかかりますよという税金のルールを伝える機会でもあること。

そして、納税が済んだかどうかの確認だけで連絡を終えるのではなく、お客様が経営で困っていること悩んでいることがないかどうかを聞いて、自分が役立つチャンスを探る機会でもあること。

そういう意図を伝えた上で、実際目の前で先輩が電話するのを聞いてもらったりします。

業務的な連絡だけで終わるのではなく、一言二言でもお客様を気遣う会話があるだけで、連絡をした意味合いがまったく変わってきます。

 

お客様から会計資料が郵送で送られてきたタイミングや、税理士報酬を振り込んでもらったタイミングは、お客様が取ってくれたアクションに対して、まずこちらが反応することが重要です。

ちゃんとこちらに届いたことをすぐに伝え、追加で説明や質問したいことがないかを毎回確認するだけで、お客様の安心感は大きく変わります。

税法知識や実務の内容とあわせて、このような気配りを学んでいくのが、税理士事務所の担当者にとって重要だと考えています。