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税理士試験の受験生活

この記事でわかること

  • 受験専念する人の一日のスケジュールが分かる
  • 働きながら受験する人のの一日のスケジュールが分かる

この記事は、税理士試験の受験生活というテーマで、これから税理士試験を受験しようとしている方に、僕が毎年どれぐらい勉強していたか?という体験談をお伝えします!

皆さんもこの記事をみて、同じ受験生のライバルを想定して頂いて、ライバルがどれほどの勉強時間で税理士試験に臨んでいるかを知って、自分は絶対それを上回ってやる!という気合を入れるためのモチベーションアップに、この記事を使って頂けたらと思います。

1.二年間の受験専念

私自身の体験談なので、すこし昔の税理士試験の話にはなるんですが…

試験制度については、当時と大きく変わっていませんので、そのまま参考にして頂けます!

当時と変わったのは受験者数ですね。今の倍以上の人数が受験していました。

合格率は当時のほうがやや低くて、簿記論でも11%、税法科目は10%を切ることも普通にありました。

ではまず、税理士の5科目合格までに必要な学習時間数がどれぐらいなのかというと、2500時間~4000時間以上と言われることが多いです。

弁護士、公認会計士に次ぐ学習時間数の多さで、かなり難関資格であることは間違いないですが、この税理士合格に必要な4000時間をどうやって捻出するか?という作戦が重要になってきます。

この時間数だけを見ると、毎日10時間ずつ勉強すれば1年ちょっとで5科目合格できそう、と思うかもしれないですが、2年や3年で5科目合格する人はきわめて少ないことを考えると、4000時間では本当はやや足りないと思います。

しかも、毎日10時間以上勉強するのは、想像以上にしんどいです。

僕は23歳で岡山大学を卒業して、税理士の受験資格もなく、日商簿記2級の勉強もしたことない状態からスタートしました。

この受験1年目が一番ヤル気に燃えていて、4月から翌年8月の税理士試験までの1年4ヶ月の間に、日商簿記1級、国税専門官採用試験、簿記論、財務諸表論、に一気に合格できました。

その時の受験生活はこんな感じでした。

二年間の受験専念(簿、財、法、消)受験生活の一日のスケジュール

朝8時半ごろには大原簿記専門学校に行って、そこから授業と自習を夜7時までします。

帰ってご飯を食べて夜までちょっと休憩して、夜10時過ぎから眠くなるまで自習する、という生活リズムでした。

当時、毎日の勉強時間をノートにメモっていまして、このグラフだけを見ると、13時間勉強していることになっていますが、途中10分とか30分の休憩をはさみながらやっていたので、実際には毎日10時間ちょっと。
バス移動の時間も暗記ノートを見ていたので、それを足すと毎日11時間くらいが平均的な勉強時間でした。

この時は、就職せずに実家のお世話になっていることが本当に恥ずかしかったので、せめて勉強はしっかりやろう、と土日もほぼこのスケジュールで勉強していました。

基本は簿記論と財務諸表論の勉強をしていましたが、国税専門官の試験のために、公務員試験対策で有名な、スーパー過去問ゼミという本を解いたりしていました。

日商簿記1級は、簿財の試験範囲にはない、工業簿記と原価計算を別に勉強しないといけなかったのですが、落ちたら税理士試験の受験ができないというプレッシャーがあったので、こちらも手を抜かずに勉強していました。

もっと頑張ろうと思って年明けから固定資産税も2,3ヶ月ぐらい授業を受けたのですが、キャパオーバーになったのですぐに断念しました。

 

ちなみに、税理士試験の受験資格は、令和5年、2023年から、簿財に限って、なくなる予定です。

今から税理士試験に挑戦する方には、とても大事なニュースなので、概要欄のほうに「税理士の受験資格が不要に!?最新税制改正大綱が発表」という1分の動画を置いておきます。後ほどチェックしてみてください!

さて1年目の税理士試験、簿財の受験を終えて、解答速報を見たら、自己採点で2つとも合格してるという自信はあったので、法人税法と消費税法の受講を始めました。

同じ8月に、国税専門官の採用試験も合格が決まったので、2回目の税理士試験の法人、消費を受験する8月は、国税専門官として働きながら受験することが決まりました。

就職する3月までは、1年目と同じスケジュールで毎日勉強していましたが、就職が決まったことでちょっとだけ油断してしまって、毎日の勉強時間は1年目より少し減っていました。

2.国税専門官時代の税理士受験

さて、国税専門官として働きながら2回目の試験を受けることになったんですが、働きながらは、やはり勉強時間が一気に減ってしまいました。その時の受験生活はこんな感じです。

国税専門官時代の税理士受験(消費)受験生活の一日のスケジュール

日中は仕事なので、授業を受けたり自習できる時間が、最大でも夜7時~10時半の3時間半くらいに減ってしまいました。

もっと夜遅くまで勉強すればいいじゃん!と思うかもしれないですけど、次の日も仕事だと僕はこれが限界でしたね。

実際3時間半みっちり勉強できる日も少なくて、大原の自習室に行っても30分以上机で寝てることも多かったです。

週に2回くらいは税務署の上司や先輩に飲みに誘われたので、そうなると、

国税専門官時代の税理士受験(消費)受験生活の一日のスケジュール(飲み会)

こんな感じで、勉強時間ゼロの日もありましたね。さすがにまったく勉強しないのは自分で罪悪感を感じたので、飲み会が早く終わった日は、酔っぱらいながら1時間だけでも大原の自習室に寄ったり、帰りの電車で理論サブノートを開いて帰っていました。

こうなると、法人税、消費税の2科目を勉強するのが到底無理になってしまったので、結局受験2年目、3年目、4年目は消費税一科目だけにしました。

特に国税専門官になってすぐ、簿財を受けた翌年は、受験すらできませんでした。

税理士試験の日に、普通に仕事があったということもありますが、消費税の理論をまったく覚えられていなかったので、受験しても受かる自信がなかったからです。

受験3年目、4年目は計算、理論ともに模試で上位3割くらいを取れるようにはなっていましたが、合格するだけの実力には達しませんでした。

このあたりで、このままではずっと税理士試験に合格できないなと思ったのと、いつかは税理士事務所で働いて、税理士になりたいと元々思っていましたので、国税専門官をいつ辞めるかということを考え始めていました。

働きながら勉強時間を確保することが、どうしても難しく、自分に厳しくなりきれなかったので、働きながら合格した人に比べたらかなり甘い考えだと思うんですが、もう一回だけ勉強専念期間を作って、そこで死ぬ気で頑張ろうと思って、税務署の上司に退職することを告げました。

3.半年間の受験専念期間(消費、所得)

税務署を1月に退職して、8月の、僕の5回目の税理士試験までの7ヶ月間は働かずに消費税、所得税、固定資産税の3科目を絶対に合格する、という気持ちで勉強を開始しました。

その時の受験生活はこんな感じで

二年間の受験専念(簿、財、法、消)受験生活の一日のスケジュール

受験1年目とまったく同じようにやっていました。ただ、必死で3科目に合格しようと思ってやっていたのですが、所得税のボリュームが思ったより大きく、2ヶ月程度勉強した時点で、このままでは消費税所得税も共倒れになってしまうと思って、固定資産税の学習を断念することにしました。

5年目の税理士試験は、消費税と所得税の2科目を受験し、消費税は100%合格した自信がありましたが、所得税は多分不合格だなという手応えでした。

死の覚悟で受験専念しましたが、1科目しか合格できなかった自分の甘さを本当に悔やみましたが、受験前に内定をもらっていた、当社、ベンチャーサポートで試験後8月からすぐに働きはじめました。

4.現職時代の税理士受験(住民)

もう受験専念はできない、と思って税理士事務所で働き始めて4ヶ月後、その年の12月の合格発表で運良く、消費税、所得税の2科目に受かったので、ようやくラスト1科目という所まで来ました。

固定資産税は、以前勉強してあまりに興味がわかなかったので、所得税と学習範囲がかぶるという理由で、住民税を勉強することに決めました。

ただ当社、今でこそかなり残業は少ないですが、10年以上前の、当時はけっこう長く働いていて、ラスト1科目、住民税の、働きながらの受験生活はこんな感じでした。

現職時代の税理士受験(住民)受験生活の一日のスケジュール

この時は、ラスト1科目という心の余裕も少しあったり、まずは実務を覚えないとという思いから、仕事優先と割り切って、余った時間で毎日ちょっとずつ勉強を進めていきました。

ここまで来ると、勉強方法もかなり慣れてきて、ムダなことには時間を使わず、知らないこと、分からないこと、間違った問題では何を理解できていなかったか、かなり効率的に勉強できていたように思います。

ただ、いくらミニ税法の住民税といっても、毎日この勉強時間で受かるわけはありません。

当時の、土日の勉強時間はこんな感じでした。

現職時代の税理士受験(住民)受験生活の一日のスケジュール(土曜)

現職時代の税理士受験(住民)受験生活の一日のスケジュール(日曜)

2つあるのは土曜と日曜、というイメージです。
土日両方、一日中勉強するのは、かなりしんどかったので、どちらか一日はしっかりやって、もう一日は少し休むというリズムで勉強していました。

6年目の税理士試験は、転職1年目ということと、私生活で結婚をしましたので、そのバタバタという言い訳を自分にして、受験せず。

7年目の税理士試験は住民税を受験して、計算でひとつだけ分からない論点があって他は完璧という手応えだったのですが、不合格になってしまいました。

同じタイムスケジュールで学習を続けて、8年目は授業やテキストで少しでも触れた論点はすべて完璧に解けるように準備し、試験本番でも計算ミスなく解けました。

解答速報の最終値と一致していたので、絶対受かった!という自信はあったんですが、12月にネットの官報に自分の名前が載ってたときは、泣きはしなかったですけど、本当に嬉しかったです。

住民税はたぶん満点合格だった、と今でも思っています。

5.税理士試験合格の心構え

僕の同僚で、先月の合格発表でようやく最後の科目合格を果たした、歳の近い友達みたいな後輩がいるんですが、「桑原さんにこれを言ってもらえたから合格できました!」と言われた、税理士試験の心構え、みたいなアドバイスがあるので、それを紹介したいと思います。

そのアドバイスは、「1位で合格しろ!」ということです。

もともと、その後輩はラスト1科目にもう5年以上かかっていて、なかなか合格できなかったんですね。

仕事も大変な立場だから、一番少ない勉強時間でコスパよく、合格ラインぎりぎりで滑り込みたい、とずっと思っていたそうです。

それじゃ絶対受からないし、僕は自分が合格した年は、所得税以外は全部、上位5%か3%に絶対入ってたっていう自信がある、と話しました。

コスパを考えずに、受験者の中でトップ合格を目指す。その意気込みが、ボーダーライン上になったときの合格・不合格を分ける決め手になる、と今でも思っています!