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税理士事務所の就職に使える資格・使えない資格

この記事でわかること

  • 税理士事務所の就職に資格は必要か?
  • 税理士事務所の就職に使える資格が何か分かる

この記事は、「税理士事務所の就職に使える資格・使えない資格」というテーマで、税理士事務所の就職希望者のうち、主に業界未経験の方に向けて、採用確率を上げるための資格選びについてお伝えしていきます!

1.税理士事務所の就職に資格は必要か?

まず、税理士事務所によっては求人の募集要項で、応募をするのに資格必須となっているところがあります。

必須の資格として挙げられることが多いのは、日商簿記3級、2級とか、税理士試験の科目合格1科目以上、2科目以上、などです。

ここ数年は、税理士試験の受験者数がすごく減っているので、それに伴ってこの、税理士試験の科目合格を必須資格として、求人募集をしている税理士事務所はずいぶん減ってきました。

税理士試験の受験者数推移

資格不問の税理士事務所はたくさんあります!
しかし、応募自体は資格不問でも、採用されることを考えると、実質的には日商簿記3級がこの税理士業界に入るパスポートのような存在になっていると言えます。

なぜかというと、日商簿記3級って合格率が約45%もある比較的簡単な試験なので、税理士業界を志望しているのに、なぜ簿記3級も受験してないの?って思われるぐらい、仕事で日常的に使う知識なんです。

昔は、年3回の試験だったんですが、今はネット試験で随時開催されているので、尚更、持っておいたほうがいい資格となっています。

採用面接官からすると、「税理士事務所の仕事に興味を持って、この業界で頑張っていこうと思っています」という、本心かどうかわからない志望動機を面接で聞くよりも、日商簿記3級・2級の資格が履歴書に書いてあるほうが、何も語らなくても、この業界を志望していることが分かるのでとても印象は良くなります。

2.日商簿記検定

税理士事務所の就職に使える資格、ナンバーワンは、先ほど説明したとおり、日商簿記2級・日商簿記3級です。

日商簿記の資格を持っているだけで、税理士業界を志望していることが分かりますし、この業界でやっていくのに最低限必要な数字のセンスがあることの裏付けになります。

そして、税理士事務所に入社した後も求められる、日々勉強していく習慣が、入社前から身についている証明にもなっているんです。

ぜひ、日商簿記3級、2級の資格はすぐにでも学習をスタートして、取りましょう!

合格までにかかる勉強時間と、就職活動への影響力をてんびんにかけて、こんなにコスパの良い資格は他にないと思います!
実務にもとても役立ちます!!

(試験概要:日本商工会議所 簿記検定試験

3.税理士試験の科目合格

税理士事務所の就職に使える資格、第2位は、税理士試験の科目合格です。

なかでも、税理士事務所側の採用目線で見て、持っておいてくれると嬉しいのは、簿記論、財務諸表論、消費税法、法人税法、所得税法などの科目です。

日商簿記検定は、商業系の学校、学部だったり、経理事務志望の方も広く受験する資格ですが、税理士試験は、完全に税理士志望であることが確定するのと、1科目合格するだけでも相当な勉強量が必要なので、これを持っていれば、この業界に賭ける覚悟まで伝わってきます。

ただ、1点だけ注意が必要です。
税理士試験は、働きながら受験していたり、大学在学中に受験していれば一切問題はないのですが、なかには、試験勉強だけに専念している方がいます。
実際、私も大学卒業後の2年間は実家暮らしで受験専念をしていました。

あまりこの受験専念期間が長いと、就労意欲が低いのかな? いざとなったら会社を辞めて実家暮らしに戻るのかな? と懸念されることがあります。

また、受験専念だったら1年1科目ぐらいは取っていないと、逆に、勉強苦手なのかな? 遊んでいたのかな?と考える採用面接官もいると思います。

税理士試験の科目合格があれば、税理士事務所の就職に有利になる!といって、専念期間を長くすることはオススメしません!

(試験概要:国税庁 税理士試験

4.MOS試験(エクセル・ワード)

税理士事務所の就職に使える資格、というか履歴書に書いてあると個人的にとても好印象をもつ資格、第3位は、マイクロソフトオフィス スペシャリスト、エクセルです。ワードも歓迎です。

マイクロソフトオフィス スペシャリストの資格は、履歴書でたまに見るんですけど、この動画を撮るまで、あまり詳しく知らなかったのでちょっと調べました。

合格率は公表されてなくてだいたい80%くらい、パソコンスクールに通えば、90%を超えるというふうに書いてました。

なぜ難易度も内容もよく知らないのにこの資格を評価するのか?というと、パソコンを扱えることが分かるからです。

ここ最近、5年~10年くらいでパソコン操作への評価を上げています。

なぜかというと、スマホが高性能になりすぎて、自宅にデスクトップやノートパソコンを置いている家庭が以前より減っていると思うんですね。

とくに20代前半の求職者で、前職がパソコンを使う仕事じゃなかった人は、スマホのフリック入力はできても、キーボードのタイピングが全然できないとか、エクセルやワードを扱ったことがないという人が急激に増えている印象です。

こういう方は、簿記会計の知識とは別に、ゼロからエクセルの使い方とかショートカットキーを教えたり、メール送受信のやり方を丁寧に教えなければいけません。

この仕事にパソコンは欠かせませんので、基本的な操作方法を知っておいてくれるとすごく有難いというわけです。

なかでも、エクセルは税理士事務所の仕事に大活躍する便利なソフトなので、資格を取るまではいかなくても、必ず使えるようになっておきましょう!

とはいえ、弊社ではパソコンにほとんど触れたことが無い人を採用することもあります。
最初本当に、キーボードを全部人さし指で押す人とかもいるんですが(笑)
そういう方は、入社後に、「すし打」っていう、無料のタイピングソフトで練習してもらうこともあります!

(試験概要:マイクロソフト マイクロソフトオフィススペシャリスト

5.FPなどその他の資格

税理士事務所の就職に使える資格、番外編として、ファイナンシャルプランニング技能検定3級・2級とか、ビジネス会計検定。建設業経理士、そして中小企業診断士に触れていきます。

今挙げたものは、履歴書に書いてあればプラス要素ではあるものの、そこまで採否に影響することはありません。

FP3級・2級

まず、FP3級・2級です。
お金を扱う資格であることや、学習範囲にタックスプランニング、相続・事業承継などが含まれていて、税理士事務所らしい資格であることは知っていますが、広く薄く学ぶ印象があるので、この資格があるからスムーズに実務ができるという信用性までには至りません。

お金の勉強ということで、趣味で学ぶ人も多い資格なので、「志望動機」にもややつながりにくく、税理士事務所の就職に役立つ資格を求めるのであれば、ぜったい先に日商簿記を取ったほうがいいと思います!

(試験概要:日本FP協会 ファイナンシャル・プランニング技能検定
(試験概要:一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定

ビジネス会計検定

ビジネス会計検定も、たまに取得している方を見ることがありますが、FPの資格と同様、まずは日商簿記を目指したほうが、就職活動には確実に役立つでしょう。
ビジネス会計検定は、企業の決算書を読んだり分析する力をつけるための試験です。

(試験概要:大阪商工会議所 ビジネス会計検定試験

建設業経理士

建設業経理士は、建設業界の経理に特化した簿記の資格です。日商簿記と同じ級、3級なら3級、2級なら2級と比較すると、建設業経理士のほうが難易度は高いと言われています。

実際に建設業界での経理経験とセットでこの資格を持っていれば、資格というより経理の実務経験のほうで、税理士事務所の採用にはかなり近づくでしょう!

資格だけで言えば、まずは日商簿記を優先させた上で、なにかしらの理由で必要になる場合だけ取得するので充分です。

(試験概要:一般財団法人建設業振興基金 建設業経理検定

中小企業診断士

最後に中小企業診断士を見てみましょう。
この動画で挙げた中では一番の難関資格で、試験は年1回(第1次と第2次それぞれ1回ずつ)、合格率は約4%です。

学習内容は、経済学、財務会計、企業経営理論などから、2次試験になると中小企業の事例問題で、経営改善のアドバイスを論述するようなものも出題されます。

この内容、税理士事務所の担当者となって、お客さんである経営者と直接話すにあたってはとても使える知識なんですが、税理士事務所の方針によっては、積極的すぎる経営アドバイスを良しとしない事務所もあります。

経営アドバイスはあまりに、そのスタッフ個人の能力に依存してしまいますし、本当に効果を挙げられるという保証もありません。

税理士事務所の本業としては、会計ソフト入力・試算表作成から始まる、財務・税務のアドバイスが、まずは一番の基本となります。

お客様への経営コンサルティングを積極的に進めたい税理士事務所もあるでしょうけれど、それよりも、簿記、税法の知識をしっかり固めてほしいと考える税理士事務所もあるので、採否の段階で、中小企業診断士の資格を優遇する税理士事務所は、一部に限定されます。

(試験概要:一般社団法人中小企業診断協会 中小企業診断士試験