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税理士試験、合格する人の理論暗記法

この記事でわかること

  • 丸暗記か内容理解どちらがいいか
  • 書く・読む・言う、どれが良い?
  • 暗記した理論をどう定着させるか
  • 覚えることと回答できることの違い
  • 崩し文字・ペン選び、仕上げのテクニック

この記事は、「税理士試験、合格する人の理論暗記法」というテーマで、税理士試験の税法科目に挑んでいる受験生や、これから税法科目を勉強しようと思っている方に、合格者が実際にやっていた理論暗記法を伝授、させて頂きます!

まず、私自身の税理士試験でいうと、簿財2科目に合格した後、消費税法、所得税法、住民税の順で合格しました。

住民税は暗記理論の題数がそもそも少ないのと、所得税法は正直、運もあって、そんなにたくさん理論を持っていかずに受かってしまったので、私の暗記法だけでは不安。ということで、社内の別の税理士数名にも聞いて、これぞ合格のための理論学習法だ!という新メソッドを作り上げたので、ぜひ最後まで動画をご覧ください(笑)

もし、だれにも理論暗記のやり方を相談せず、我流で進めている方がいたら、ぜったいに真似して頂いたほうが良いです!

税理士試験に限らず、勉強もビジネスも、上手く行っている人のやり方をまずは完全に真似る。
我流のほうが良さそうに思えても、それは勘違いの可能性が高いので、まずは真似したやり方で税法1科目に受かる。その後、自己流にアレンジを加えていけば良いと思います。

1.丸暗記か内容理解か?

税法理論は丸暗記するのがいいか?内容をしっかり理解して覚えるのがいいか?

理論暗記メソッドその1は、丸暗記7:理解3です。

学習時間をこのぐらいの割合で使おうという意味です!

この7:3という割合、どこから来たかというと、「ランチェスター弱者必勝の戦略」という書籍で竹田陽一先生が書いていたものを流用させて頂いています。

ランチェスター弱者必勝の戦略

ランチェスター戦略といって、元々は実際の戦争で使われていた軍事戦略をビジネスの経営に当てはめた書籍のなかで、社長の実行力を求めるための算式が出てきます!

それによると、社長の実行力は仕事時間の二乗✕質で決まります。
これを概算すると、社長の実行力は仕事時間が7割、質が3割。

この式は私個人的に、あらゆることに当てはまると思っていて、税理士の理論暗記だと、理論テキストの文章を一言一句覚えるのに使う暗記の時間が7割、意味を理解してどういう内容が書いてあることかを理解する時間が3割。
これが一番効果の出る時間配分と覚えておいてください!

ちなみに、税法理論の理解を進めるうえで一番効果的なのは、同じ項目について先に計算を覚えて理解するということです。

資格専門学校で勉強していれば当然この進める順番も配慮してくれるのですが、必ず計算で学んだ項目を、あとから理論暗記するという順番がオススメです。

なぜなら、計算問題を完璧に正解するためには、かなり高度な内容理解が必要だからです。

とはいえ、どれだけ理解を先行させても、丸暗記は避けられません。しっかりと理解できたら、残りの7割の時間は、腹を括って暗記しましょう!

おまけですが、この7:3という割合、計算の学習にも使えます。

一通り、学習内容のインプットが終えた後のことですが、演習問題を解く時間が7割。答えを見て、間違った箇所、間違った理由をしっかり見直し、テキストに戻って読み直す時間が3割。

むやみに解きまくるよりも、間違った問題の分析と修正に3割の時間を割いたほうが、点数は伸びていきます!

2.理論暗記は声に出して覚える

税法理論は書いて覚えるのがいいか?黙って読んで覚えるのがいいか?声に出して覚えるのがいいか?

理論暗記メソッドその2は、理論は声に出して覚える、です。

税法の初学者だと、初めは書いて覚えるという人も多いと思います。最初はそれでも構いませんが、そのうち、全部書いていては時間が足りなくなります。特に働きながら受験している方は、初めから書いている暇などありません。

多くの税理士合格者が書かずに暗記していますので、書かないと覚えられないと思っている方はその考えから改めていきましょう!

とくに、一日に何時間勉強する、と決めて学習している方。理論を書くと、多くの時間を消費し、勉強した気になってしまうというのが一番注意すべき点だと思います。
この、やった感、が一番危険です。
どうしても書きたい方は、書いている時間を勉強時間に含めないようにしましょう。

次に、黙読して覚えるか、声に出して覚えるかですが、これは自習室など学習環境にもよるので、声を出せる時は声をだして覚えましょう!

合格者の中には、絶対に声に出したい。ということで、自習室では計算しか勉強しなかったという方もいるほどです。

黙読と、声に出すのと、学習効果を比較したわけではないですが、人間の5感のうち、視覚だけでなく、自分の発した声を聴覚でも拾うことはプラスに働くでしょう。

黙読していると眠くなってきて、今どこを覚えているか分からなくなる時もあるので、指でなぞりながら声をだして覚えるのが理論暗記には一番効くと思います!

この、声に出して覚える、のさらに1つ上の覚え方で、税法理論にツッコミを入れる、という方法があります。

たとえば、
…消費税を納める義務を免除する。
ええーラッキー、どうなれば免除されるんだよ?とツッコむ。

そして、
基準期間における課税売上高が1000万円以下である者。
基準期間っていつだよ?課税売上高1000万円って月たった83万かよ!とツッコむ。

理論を理論として覚えるのではなくて、この規定、めっちゃ得じゃん!めっちゃ損じゃん!と納税者側の損得の視点にたってツッコミを入れると、何を言いたい条文なのか?が理解しやすくなることがあります!

サッカーで全く知らないチーム同士が戦っているときより、どちらかのチームを応援しているほうが、ゲームに集中できますよね!

そんな感じで、無機質な理論テキストの文章に、無理やり感情を絡めて覚える、というのも試してみてください!

3.理論暗記は忘れる頃に復習する

暗記した理論はどう定着させればよいか?

理論暗記メソッドその3は、エビングハウスの忘却曲線です。

エビングハウス

エビングハウスとは、ドイツの心理学者らしいのですが、その方の研究によると

人が何かを学んだ時、
20分後には42%忘れる
1時間後には56%忘れる
1日後には67%忘れる
31日後には79%忘れる
ということです。

エビングハウスの忘却曲線

さらに、これを踏まえて、覚えた1日後、7日後、30日後など最適な復習のタイミングというのも研究されているのですが、この実験と、税法理論暗記では覚える量も内容も違うので、細かく覚えなくて構いません!

こういう忘却曲線というものがあって、覚えた日の翌日、翌々日など集中的に復習し、定着してきたら一週間後、一ヶ月後と忘れそうな頃に復習をすると効果的!ということだけ覚えておいてください。

忘れそうな頃がいつか?
これは学問的に覚えておかなくても、すごく使えるコツがあって、今から理論の復習をしようと覚えている理論を見返したときに、一番やりたくない理論を選べば良いです!
忘れかけてる理論は復習したくないものなので、自分の脳に聞くのが一番です!

そして、理論を定着させる一番のコツは、一度完璧に暗記することです。100%完璧に暗記しても、一晩寝たらすぐ忘れてしまうので、もったいない気がして、細部はなんとなく暗記して終わってしまいがちですが、そこは一度徹底して覚えきりましょう。
そして、何度も忘れてください。忘れてしまうと自分に腹が立ちますが、忘れた回数だけ記憶は定着すると前向きに捉えましょう!

また税法学習で、理論の復習をするか新しい理論を覚えるか時間があって迷ったら、新しい理論に取り組むほうを選びましょう。

最初の5題、10題を固めるよりも、新しい理論暗記の題数を増やして行くべきです。

そうしていくと、悔しいですけど、忘れます。忘れてしまいながらも前に進むしかないのが税法理論の暗記です。

ポロポロ忘れるのが悔しければ、新しい理論を覚えて、計算問題も解いて、もうひと頑張り、自分が一番やりたくない理論を1題回してから寝て下さい!

4.理論暗記は画像で覚える(解き方)

理論暗記メソッドその4は、理論は画像で覚える、です。

税法理論を暗記するときに、全部の文章を覚えるのと同時に、こちらの画像

理論暗記は画像で覚える

理論の番号、タイトルと、目次だけ書いています。これを画像イメージとして覚えてください!

理論を画像で覚えて、何という目次が、どの辺の位置にあったかを覚えます。文字の暗記ではないので、暗記することが増えたという気はしないはずです。

税法理論を丸暗記して、飛んでしまうと途中から何も書けなくなるという怖さがあったので、まず、一番重要な各理論ごとの目次をもれなく書けるようにしておく。そうすると、問題が出た時に、どういう組み立てで漏れなく答えられるか?
漏れがないことを書き始める前にチェックすることができます。

この画像で覚えるメリットは、本試験が近づくほど効果が表れます。

問題に対して、どの理論の何の項目を書くか?
書き始める前にパズルのように組み合わせて、パズルのピースが多すぎたり大きすぎると、時間がかかりすぎるから、どれか重要度の低いものを書かないでおこうなどと選べるわけです。

覚えることの次の段階、問題を解くことを意識したやり方です。

本試験前の、理論を書かずに、どの内容を回答するべきかの目次だけ挙げてみることを、柱あげと言いますね。

完璧に暗記することが前提ですが、この画像記憶を頼りに、問題にたいして書くべき内容と分量を考えて、選んでいきましょう。

5.理論暗記は速く書くことにこだわる(文字の汚なさ)

理論暗記メソッドその5は、速く書く練習をする、です。

これは税理士合格者の共通認識なのですが、合格した年の理論の字、汚かったー!ということです。

理論の字は汚くても合格する。なんてことは私も絶対に言えません。専門学校の講師も絶対に言えないと思います。

実際、字が汚すぎて不合格になった人もいると思うので誰も無責任なことは言えませんが、意外と汚くても読んでもらえるのは間違いありません。

字が汚い、と言っても分からないとおもうので、書いてみました!

税理士試験に合格した年の理論の字

全員、税法合格者なので、これぐらいの字なら、大丈夫ということです。

私が意識していたのは、字は汚い代わりに、句読点とか、改行した後の段落の一字下げ、単語ごとにすこし間隔をあけて書く、など時間をかけずに見やすくできる、空白の使い方にはこだわっていました。

あと、私はやっていませんでしたが、崩し文字の練習をやっていたという人もいます。

崩し文字

メソッドその2で、理論暗記は書くな、と言いましたが、週に1題か2題は授業の演習があってもなくてもわざと毎週書くようにしていました。

これは、暗記のために書くのではなく、本試験で答案を作るための練習です。ペンを変えてみるとか、このボリュームの理論を書くのに何分ぐらいかかると思っていたけど実際は何分かかった、という修正をしていきます。

ボールペンのペン先は0.28mmとか細いほうがテキストへの書き込みはしやすいのですが、理論で走り書きするには0.38mmとか0.5mmぐらいのほうが速く書けます。

私は、計算は細いペン、理論はすこし太いペンと使い分けていた時期もありました。

常に本試験から逆算して、勉強方法にもこだわって学習を進めていって下さい!