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税理士事務所の仕事はきつい?きついポイント・頑張れるポイントをそれぞれ解説

この記事でわかること

  • 税理士事務所ではどのような業務を行うのか知ることができる
  • 税理士事務所の仕事の中で何が大変なのか知ることができる
  • 税理士事務所の仕事を頑張ると良い点やメリットがわかる

税理士事務所で働いてみたいと考えている一方で、その仕事の内容がよくわからない人もいることでしょう。
この記事では、税理士事務所の仕事のきついポイントと、頑張れる魅力となるポイントについて簡単に紹介します。
ぜひよく分からないという不安からくる迷いを克服して、就職・転職活動を納得いくものにしてください。

税理士事務所の仕事はきつい?きついポイント・頑張れるポイントをそれぞれ解説

 

税理士事務所の業務とは

税理士事務所で行っている業務は、顧客である中小企業や個人事業主の経理に関する仕事の一部代行と、税務署への提出する申告書の作成がメインです。
ただ、その仕事を進める過程は単純ではなく、様々な業務を行う必要があります。その業務について簡単に説明していきましょう。

記帳代行

記帳代行とは税理士業界ではよく使う言葉で、現在はお客様企業の毎月毎年の経理を会計ソフトに入力することを代行する作業という意味です。

会社や個人事業主は、税務署に提出する申告書の作成を行うために、まず会計帳簿を作成しなければなりません。会計帳簿は会計ソフトに入力して作成するのが一般的ですが、所長が高齢の税理士事務所では、いまだに手書き伝票を使っているようなこともあります。
また、会計帳簿を作成するには仕訳を作成しなければなりませんが、仕訳というのは複式簿記の知識が必要な、経理特有の集計方法という意味があります。 このように経理に関する特殊な知識が必要なため、税理士事務所が帳簿作成の業務を代わりに行うことがあるのです。

決算申告

記帳代行により1年間の取引をまとめたら、1年間の経理のまとめとして決算書を作成します。その金額をもとに法人税や所得税、消費税の計算を行います。税金の計算は、決算書をもとに申告書という書類を埋めながら行ないます。
税理士事務所としては最も重要な業務の1つであり、最も神経を使う業務でもあります。

巡回監査

こちらも税理士業界でよく使う言葉で、巡回監査とはお客様の会社を月に一回など定期的に担当者が訪問して回ることを言います。
TKCという団体に属する税理士事務所が使う用語ですが、一般化して、訪問するか来社してもらうかに関わらず、税理士事務所の担当者が定期的に顧客と面談することをこう呼ぶこともあります。

巡回監査の具体的な内容は、会計資料や会計処理の確認をしたり、経理の担当者に作業手順をアドバイスすることがメインです。しかし、税務・会計に関する質問を受けたり経理をチェックするだけではなく、経営者から税務調査、融資、労働問題など経営的な質問を受けることもあります。
入ったばかりの若手職員であっても、顧客にとっては税務・会計の専門家であり、事務所を代表する顔として見られる立場となります。

経営コンサルティング

巡回監査でもご紹介したとおり、税理士事務所のスタッフはたくさんの会社の経営を見ている立場なので、経営的な相談をうけることがあります。経験が浅いうちに満足な回答を返すことは難しいでしょうけれど、経理が基本的に事後処理的な仕事であるのに対して、経営相談はお客様のビジネスを成長させるという未来的な仕事ですので、ここで適切な対応ができるようになれば、お客様から大変喜んでもらうことができます。

その他

会社は年末調整と言って、毎年年末に全従業員の1年間の所得税を本人に代わって計算してあげなくてはなりません。ただ、年に一回かつ細かい作業のため、人事部や総務部を持たない小規模な会社では、この作業を税理士事務所が代行するケースが多いです。
場合によっては、毎月の残業代などの給与計算や給与明細の発行作業も、税理士事務所が手伝うことがあります。
毎月定額の給与でも、意外に細かい法律の決まりや作業の手順があって、経営者が全部自分で済ませるにはかなり難しいのです。

税理士事務所の仕事のきついポイント

税理士事務所の仕事は、事務所内で預かった書類をもとに帳簿の作成や税金の計算をするだけではありません。何をするにしても、顧客とのコミュニケーションは不可欠なのです。
ここでは、税理士事務所が他の職業と比べて特に「きつい」と感じる点をお伝えします。

実務経験が乏しいと対応が難しいことがある

税理士事務所に入社する時点で、ある程度の簿記や会計に関する知識を有していると思います。しかし、実際に顧客が直面している問題は知識だけでは解決できないことも多いです。かといって高度な内容ばかりというわけではなく、たとえば、この役所の書類はどこに何を書いて、持参か郵送かどちらで提出すればいいか?といった、一度経験してしまえばなんということもない質問も多いです。

ただ、実務経験がない人は非常に困惑することとなります。入社直後は、自分がこの道のプロになれるのかと落ち込むこともあるでしょう。しかし、これは誰もが通る道であり、経験を積みながら知識を増やしていくしかないのです。

ミスできない重要な仕事が多い

どの仕事でもそうですが、税理士事務所の仕事はとくに法律で決められていて、ミスで数百万円が取り返せなくなってしまうようなことが実際にあります。
税金に関する誤った説明をして、経営者の判断を狂わせてしまって損失を与えることも充分考えられます。
お客様に提出する資料を必死にチェックしたり、確実な知識でないことは言い切らずに持ち帰って調べるなど、慎重さが要求される仕事です。

顧客とのやり取りが大変

顧客から記帳のために必要な書類を郵送してもらったり、メールを送ってもらったりします。
しかし、顧客の中にはメールが使えない人や、資料を依頼してもなかなか送ってくれない人もいます。
申告書の提出など期限のある仕事が多く、間に合わせるためにはスケジュール感のある手際よい仕事の進め方が求められます。

所長や上司・先輩に教えてもらえない

特に従業員が10名未満の小規模な税理士事務所でよく耳にすることですが、いまだに税理士事務所を職人の世界ととらえていて、新人は先輩の仕事を「見て盗め」と考えている事務所も少なくありません。そういう事務所は、教育がなにもなくても、ミスをしたときだけ猛烈に怒られます。

ここまで旧式の事務所でなくても、規模が小さく教育システムが整っていない事務所は多く、その場合は一番よく関わる先輩や上司次第で、良い教育になるか悪い教育になるかがきまってしまいます。

給料が安い

特に個人の税理士事務所の場合、一般企業に比べて給料が安いことが多いです。
賞与や昇給と言っても、税理士事務所自体の経営が順調に右肩上がりでない限りは、いくら頑張って活躍したところで、給与の上限が低い事務所もあります。
給料の上限値が事務所の経営によって決まってしまいますので、事務所選びが大切と言えます。

残業が多い

税理士事務所の仕事は、一般的に時期によって仕事量が大きく変わります。
特に、個人事業主の顧客が多い事務所の場合は、2月~3月の確定申告時期は長時間の残業や休日出勤が必要なほどです。このような時期に少ない人数で多くの作業をこなさなければならない事務所はとくに労働時間が長くなりがちなのです。

税理士試験との両立が大変

税理士事務所で働く人のなかには、税理士試験を受けて合格を目指している人もたくさんいます。税理士試験に合格するためには、毎日の積み重ねが必要であり、簡単に合格できるわけではありません。
しかし、仕事が忙しいと勉強する時間も気力も失われてしまい、悪循環となってしまうことがあるのです。

きついけれど頑張れる税理士事務所の3つの魅力

私を含めて、なぜこんなきつい税理士業界で10年以上も仕事を続ける人がいるのでしょうか?それは、他の職業では得られない税理士事務所ならではの魅力があるからです。
ここでは、税理士事務所で働くメリットについてご紹介していきます。

実務経験を積めば積むほど稼ぐ実力が身につく

税理士事務所は、未経験から入社する時が一番採用のハードルが高く、一旦実務経験を積むと意外と簡単に転職が成功する業界です。
それは、税理士事務所の仕事が経理に特化した専門分野の仕事であることと、簿記や税法といった全国共通の知識を使うことが理由です。
つまり、一度大変な思いをして経験と実力を身につけると、転職もしやすいし、さらなる次の経験や実力を伸ばすこともできる拡張性・発展性のある仕事だということです。

税理士事務所だけの転職ではなく、一般企業にも経理の仕事はかならずありますので、転職先の幅も多く、自分の将来の選択肢を増やせる仕事なのです。
さらに、税理士の有資格者は70歳を超えても仕事を続ける方が多くいます。つまり、年齢とともに衰えることもなく、ずっと使える実力が身につく職業だと言えます。

お客様から直接感謝の言葉をもらえる

税理士事務所の仕事の大きな魅力は、会社の経営者と直接仕事上のやり取りを行えることです。
一般企業では、会社の各担当者同士のやり取りが多く、相手企業の経営者と会ってやりとりするような仕事は少ないでしょう。
しかし、税理士事務所の仕事は経営者と話すことが普通です。仲良くなれば、経営に関する考え方や起業した時の話を聞くこともできます。
お客様のために頑張り、素早く作業を仕上げたり、良い提案をして上手くいった時は、お客様から直接ありがとうと感謝される仕事です。
本当に良い仕事を続けている場合は、お客様の会社に転職しないかとスカウトされることもあるほどです。

税理士になるためには実務経験が必要

税理士として登録するためには、税理士事務所などでの実務経験が2年以上なければなりません。その資格の要件として2年間実務を積む方もいます。
税理士の資格を取得すれば、その後に大きく飛躍することができる可能性があるのです。

まとめ

この記事を読む前は、あるいは読んで頂いた後も、税理士事務所はきついと感じたかもしれません。
たしかに、未経験から税理士業界に入り、経営者の眼鏡にかなうベテランへと成長するまでにはミスや学習を繰り返して、めげずに成長していかなければなりません。

しかし、そうして得られた経験と知識は、必ず自分の身となり、稼ぐ力となります。
新型コロナウィルスでも経営的に大きな打撃をうけることなく、堅実な仕事であることが証明されています。
最初はつらいと感じても、自分への投資と考えてあきらめずに仕事を続けることで、将来が大きく広がる仕事と言えるのではないでしょうか。