税理士試験の税法科目免除のために大学院に入ろうと思っても、そこに立ちはだかる大きな壁があります。 それが大学院入試のための「研究計画書」。
多くの大学院では、入試の際に研究計画書を重視して合否を判断します。 しかも大学院入試の倍率は一般的に3倍以上!
年1回の試験なので、落ちてしまうと税理士資格の取得は1年単位で遅れてしまいます。
どうしても一発で大学院に入りたい。
もう大学院入試に落ちたくない。
そんな方は必見!
実際に税法免除大学院を卒業した方3名、現在通学中の1名を迎えて「受かる研究計画書」の書き方を徹底的にインタビューしました!
動画で見たい方は下のyoutubeから、
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税理士の税法免除大学院。どうすれば入試に受かる?
税法免除大学院に入学・卒業された方に集まって頂きました! 現在ベンチャーサポート税理士法人で勤めている皆さんです。今日はよろしくお願いします!
よろしくお願いします!
偶然ですが、4人とも別々の大学院に通われました。
まず初歩的な質問から始めたいのですが、大学院入試の大まかなスケジュールを教えてください。
はい。入学は4月なので、どの大学院もだいたい前年の10月に入試があります。
ではその時に研究計画書も提出しないといけないんですね。大体いつ頃から、研究計画書の準備を始めるものですか?
早いほど有利ですが、半年前くらいから河合塾に通って準備している人もいましたよ。
自力で学ぶ方は、研究計画書の書き方の本とかを参考にしてましたね。
大学院入試に合格するための塾なんていうものがあるんですね!初めて知りました。
はい、普通に半年コースとかあります。でも、ただでさえ入学金や学費がかかるので、入試に受かるための受講料は痛いですよね。
受験計画書は直前2週間とかで一気に書く人もいましたけど、1年でも早く税法免除を受けて税理士登録するためには、ちゃんと準備しておいたほうがいいですよね。
もちろん準備は万端にしたいですが、皆さん働きながらで時間が無いのも事実ですから。
ぜひとも今日集まった4人のお力で、効率よく「受かる研究計画書」を仕上げたいですね!
お任せください! あまり他人に語る機会もないですからね。このインタビューを読んでくれた人は、間違いなく一歩リードできると思いますよ。
研究計画書を書く前の心構えと知っておきたいこと
どの大学院も、研究計画書を提出するのですか?
いえ、私のところは小論文でした。でも内容とか作り方は研究計画書とまったく同じですね。
じゃあ、研究計画書を書き始めるときに、何からすればいいんですか?
自分の時はすごく非効率なことしちゃいましたけど、今になって考えると、絶対に修士論文を調べてコピーを取ることから始めるべきですね。
修士論文、つまり先行研究を見ることは絶対ですね。
まず知っておかないといけないことは、大学院の教授は、指導以外にも自分の研究論文や学会の発表、大学の授業などの役割があり、相当お忙しい方々です。
先行研究がない論文のように、完成までに多大な指導が必要なテーマなどは避けた方が良いでしょう。
修士論文の完成イメージから逆算して作った研究計画書は教授も指導のイメージが付きやすいので、選ばれやすい傾向にあると思います。
私の教授は「修士論文は先人が積んだ石の上に、自分の石をひとつ積み上げるようなものだ。誰の石も置かれていない真っ白なところに石を積むのはドクターのやること」と言ってました。
だから、先行研究が多いテーマを選んだほうが良いと思います。
私は、先行研究が多いテーマを選んで、「ベタすぎる」と言われて大学院入試に落ちたことがあります(笑)
でもそこは、税理士の税法免除を目指すヤツは来るなっていう大学院でした。
それは、きついですね。
税法免除のための大学院選びについては別のインタビューをしようと思うので、今回は税法免除に前向きな大学院の話で進めますね。
私の大学院はむしろ税理士の輩出実績を気にしてました。入学前に税理士の科目合格いくつ持ってる? と聞かれたくらいですから。
大学にもよりますし、教授にもよりますよね。だから過去の卒業生で、教授の性格を知ってる人に聞くのが本当は一番良いんですが(笑)
そもそも提出した研究計画書のテーマのまま、テーマを変えずに修士論文まで作るものなんですか?
いえ、変えました。
むしろ、入学して1年目はそのテーマを探す期間みたいな雰囲気でした。
え? では研究計画書は、入学のためのものと考えてよいということでしょうか?
そうですね。入学のときに作った研究計画書のまま進められるなら理想ですが、入学後に変えることもできるので、まずは先行研究を色々見て研究計画書を作ってしまうのが良いですね。
研究計画書のテーマが全然決まらない人は、自分が今まで学んだ知識や実務経験とかぶっている内容のほうが、とっつきやすいでしょうね。
実務経験者は、法人税・消費税・所得税あたりが無難でしょうね。一緒に大学院に通っていた人も税理士事務所で働いている人が多く、実務で触れたテーマや、税理士試験で学んだ税目から選んでました。
なるほど。自分でテーマを選んで、先行研究を調べるところから始めれば良さそうですね。
はい、そうですね。先行研究が多くて、判例もあるもの。見解が分かれているもの。が、お薦めです。
自分が取り上げたいテーマが、先行研究と全く一緒になってしまったら別のに変えるべきですか?
盗作じゃなければ、テーマは被ってても問題ないですよ。あまりに有名な論文じゃなければ。
あとこれだけ注意して欲しいのですが、論文の最後に載せる参考文献の記載や、引用した文献の脚注にはルールがあります。
細かい形式と思ってしまいがちですが、多くの教授が重視しますので、書き方をWEBで調べて正しい形式で記載したほうがいいですね。
あ! それは絶対やったほうが良いです!
教授も読み慣れた書式であればすっと入りますが、形式が違うとストレスになります。ちゃんとした論文の形式が書けることは大事です。
知っている人にチェックしてもらえるとベストですね。
受かる研究計画書は、先行研究が大事!先行研究の調べ方
研究計画書は「これを先行研究にしよう!」という修士論文さえ見つければ大きく前進ですよ。見つけるまでが大変なので。
なるほど。では、先行研究選びを制する者が研究計画書を制すると言えそうですね。
「失敗する先行研究選び」みたいなものはあるのですか?
たとえば、国際税務などはテーマにしないほうが良いと思います。英語の原文を全訳しないといけませんからね。
先輩に、カナダの消費税と日本の消費税の比較について取り上げた人がいましたが、教授からは英語の文献を死ぬほど読むように指導されていましたね。
英語の修士論文は、卒業後の免除申請の際も、審査も時間がかかると聞きました。
なるほど。税法免除にフォーカスする場合は国際税務は避けたほうが無難ですね。
やはり、先行研究の多いものから研究計画書を作るのが王道でしょうね。
具体的に、どんな内容は先行研究が多いのですか?
交際費と寄付金とか、給与所得控除、消費税の逆進性などが多かったのは覚えています。
先行研究はどうやって調べればいいんでしょうか?
サイニー(CiNii)という論文検索のデータベースがありますね。
参照:https://ci.nii.ac.jp/
おお! これは便利そうですね。
私は、大学に行って前年度や前々年度の修士論文を直接調べました。
入学前に勝手に入れるんですか?
はい、大学図書館には入っても問題ありません。サテライトであれば、オフィスビルなどに大学がありますが、受付で一言声をかければ問題ないでしょうね。
「大学院の入学の研究計画書作成のために、先行研究として修士論文を見たい」と言えば、ダメと言われることはありません。
他には、国会図書館に行く方法もありますね!
東京と京都にある、キレイな建物ですね。
はい、そうです。施設がキレイでテンション上がりますよ!
あとは「税理」「税務弘報」「日税研論集」なども論文がたくさん載っていますね。
おお! これだけあれば、色々探せそうですね。
教授はしっかり見ている!参考文献の挙げ方
先行研究以外に注意する点はありますか?
そうですね。大学教授は、参考文献が大好きですので、ちゃんとした参考文献を挙げることが大事ですね。
それありますね! 私の教授は、実務と学問を分けて考えていたので、実務系の文献は重視しない方向でした。
どんな参考文献が良いのですか?
先行研究をいくつか並べてみて、そこに出てくる参考文献は見てみるべきですね。
あとはどんな税法論文であっても、金子宏先生、中里実先生、石弘光先生などは定番中の定番と言えそうです。
金子宏先生の「租税法」が参考文献に上がっていないのは、修士論文や研究計画書では大きなマイナスでしょうね。
森信茂樹先生や、増井良啓先生も調べてみても良いと思います。
教授が好む著者や文献があるんですね。驚きです!
研究計画書の書き方のポイント
先行研究と参考文献を抑えれば、研究計画書の完成度はかなり上がりそうですね。
そうですね。あとは全体の構成というか、
・はじめに(志望理由)
・研究動機
・具体的な問題点
・判例
・研究方法
・参考文献
のそれぞれが、論理的に連続していることが大事でしょうね。
とくに、はじめに(志望理由)が一番大事と言われましたよ!
「はじめに」と「おわりに」が完璧に書けていれば、かなり見栄えが良いと言われました。
なるほど。研究計画書のポイントと、作成手順がだいぶ理解できました。
確実に税法免除の取れる論文
ここからはおまけというか、大学院入試ではなく、卒業後の税法科目の免除申請についての話です。
大学院に入って卒業できたとしても、税法免除が認められない場合があると聞きました。
すごくレアケースですけど、可能性はありますね。
それだと大学院に行った意味がないですよね。
確実に税法免除が取れる修士論文ってどういう内容のものなんでしょうか?
これ、時代とともにちょっとずつ要件が変わってきているのですが。
今は判例を分析する法学にだいぶ寄せておいたほうが無難ですね。
Q.租税についての経済分析や政策を研究したが、認定が受けられるのか。
A.租税制度の経済的な側面あるいは政策的な側面の研究については、それらが我が国の税法を基礎としたものであり、かつ、税法に属する科目等と密接に関連するものである場合は、税法に属する科目等に関する研究に該当することになると考えています。 なお、研究の主たる関心が税法に属する科目等にあるとはいえないような場合(例えば、数学的処理や統計的処理に主たる関心を置いた研究等)は、税法に属する科目等と密接に関連するものであるとは認められず、認定の対象となる研究領域に含まれません。 また、税法以外の法律学や財政学、又は外国の租税制度あるいは我が国の過去の租税制度の研究は、それに関連する現行の税法が存在するというだけでは、税法を研究対象としているとはいえず、認定の対象となる研究領域には含まれません。
参照:国税庁HP|「税法に属する科目等」の学問領域について
これは本当に気をつけないと怖いですね。
財政学や経済学と取られるようなテーマは避けるべきです。
具体例を挙げると?
たとえば「法人税を下げることで本当に景気は良くなるか?」というテーマにすると、これは法人税の論文ではなく、景気の動向を研究する財政学の論文です。
面接試験の際、税法免除目的と言うかどうか問題
最後にもう一点聞かせてください。
大学院の入試の面接の際に「税理士試験の税法科目免除のために入学したい」というのは明言すべきでしょうか?
どの大学院かにもよりますが、隠す必要はまったくないでしょうね。
私もそう思います。ただ、言い方だけは配慮すべきですね。
科目免除だけが目的ではなくて、自分が問題点と感じることについてしっかり研究したいと、大学院の本来の目的も述べるのは礼儀だと思います。
私の場合、
「総合的な視点を持った税理士になるために、実務面だけでなく学問的な視点から税に対する見解を深めたい」と面接で伝えました。
それ、すごく良い表現ですね!
実際、実務でも学問的な視点で税を考えることは大事だと思うんですよ。
租税3原則などの税の根本的な考え方や、シャウプ税制から続く戦後の税の歴史を知ることは、専門家として税に対する理解を大いに深めるでしょう。
ぜひ大学院を「免除申請のため」と考えずに、税に深い見解を持つ専門家になるための登竜門と考えていただきたいと思います。
素晴らしい心意気ですね。よく分かりました!
今回のインタビューは以上です。みなさん、お忙しい中、ありがとうございました。
ありがとうございました!
今回は、大学院入試の研究計画書についてお話しましたが、「どの税法免除大学院がお薦めか?」について院卒生6人で対談した税法科目免除の大学院はここがオススメ!【東京版】も好評ですのでぜひご覧ください。