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大手社労士事務所・社労士法人の今後の展望と就職するための方法

ベンチャーサポート社労士法人の代表社会保険労務士の門山と申します。

この記事では、社労士事務所の就職や転職をお考えの方たちにとって参考になるように、
自分が成長できる社労士事務所の見極め方や、そのための就活方法論をお伝えします。

社労士業界全体の現状分析なども交えながら、今後さらに成長する事務所がどういう事務所かを述べますので、最後までお読みください。

 

1 社労士試験の受験者数と合格者数

 

「資格をとっても食えない」

「士業はAIに代替される」

 

士業を目指されている方であれば、このようなキャッチコピーの雑誌や書籍を一度は手にしたことがあるのではないでしょうか。これらメディアによる喧伝の影響は、社労士受験者数の減少、試験合格者の減少、ひいては社労士事務所(法人)の求人募集における合格者採用を困難にさせています。

 

社会保険労務士試験の受験者数と合格者数・合格率の推移

(参考:https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11202000-Roudoukijunkyoku-Kantokuka/0000183104.pdf

 

果たして、メディアが流す「社労士はAIに代替される」は本当でしょうか?

給与計算ソフトがどんどん進化し、ネットでも労務相談の情報も溢れています。今後も書類作成や給料計算の価値は低下するでしょう。しかし、ひとつひとつの会社の状況に合わせて、一人一人社長の思いに沿った人事制度を作ることはコンピューターには絶対できません。

社労士の仕事は代筆屋ではなく、会社の大事な資産である「人」についてのコンサルタント業です。

私個人としては「社労士の仕事は決してAIなんぞに代替されない」と思っていますし、社労士は非常にやりがいのある魅力的な仕事です。

社労士の資格、仕事に興味持っていただける人がもっと増えるために今後社労士事務所の仕事の発信をしていき業界をより良くしていければと思ってます。

 

2 社労士業界の市場規模は増えてる?!

 

社労士業界は総務省統計局の統計によると817億円の市場規模といわれています。

 

推定市場規模

(出典:FIVE STAR MAGAZINE 総務省統計局「経済センサス」)

 

他士業と比べると決して大きいとは言えない市場ではありますが、「働き方改革」という大きな波は社労士業界にとって大きなチャンスとなっています。

企業は長時間労働の是正をはじめとし、多様な働き方の実現のため賃金体系や評価の見直しが求められています。 また、派遣・非正規雇用者を増加させており、労働環境の整備、正社員との賃金・労働条件格差といった労務トラブルについても未然に防止していかなければなりません。

会社全体として労働者が働きやすい環境にするために企業が取り組む労務タスクは非常に多く、就業規則や賃金規定といった労務管理上の相談を始め、私たち社会保険労務士のニーズは年々確実に増えているといえるでしょう。

3 社労士事務所の二極化

 

ここで従業員規模別の事務所数の推移をみていきましょう。

 

従業員規模別の事務所数の推移

(出典:FIVE STAR MAGAZINE 総務省統計局「経済センサス」)

 

ここ数年は5-9人の事務所と10-29人の事務所の割合が増加しているのを見れば、この追風というチャンスを掴んで成長している事務所が増えているということです。

また、他の士業事務所と同様に5名未満の事務所が8割以上を占める業界です。規模を大きくできる社労士事務所はごくわずかということが言えます。

近年は社労士事務所も他士業と同じく競争激化により成長できる事務所とそうでない事務所、いわゆる勝ち組と負け組みといった二極化が顕著になってきています。

 

4 働き方改革に関わるビジネスチャンスは大手企業だけではない!

 

働き方改革をはじめとした日本企業全体が労働者の働きやすい環境づくりに関心がある今、このチャンスを掴むことができる社労士事務所は一体どんな事務所なのでしょうか?

働き方改革は大企業を中心に広がりつつあるため、大企業や上場企業を顧客に持つ社労士事務所にしか新たなビジネスチャンスは生まれないのでしょうか?

実は、そんなことはありません。

働き方改革により就業規則や残業問題、非正規社員雇用に意識を向けているのは規模の大小を問わず、すべての経営者です。

大企業の労働環境が良くなれば離職リスクが増えてしまいますし、少人数の会社でも労働問題が発端でSNS炎上を起こすリスクは高まっています。

※中小企業の働き方改革は時間外労働の上限規制は2020年4月からを予定しています。

ここで、就業規則が会社に整備されているかどうかのデータを見ていきます。

 

企業における就業規則の有無

企業における就業規則の有無

(出典:FIVE STAR MAGAZINE 厚生労働省「労働関係の実態について」)

 

2005年の古いデータですが、10名未満の企業で就業規則を適用しているのはおよそ3社に1社あり、以前に作成した就業規則を随時変更している会社も3社に1社ほどあります。

就業規則の作成が労働基準法で強制されるのは「常時10人以上の労働者を雇用する会社」ながら、それ以下の規模の会社でも就業規則は積極的に作成しているのです。当時よりも中小企業の就業規則や労務関係のニーズが増えているというのは確実です。

このように近年の働き方改革は大企業や上場企業だけでなく、全体の会社数の99%以上を占めると言われている中小企業も巻き込んで、日本の社会や労働者全体に波及しています。

大手企業の顧問先が多い社労士事務所は、この働き方改革の波に乗り、更にビジネスを広げていくでしょう。
ほとんどの顧問先が中小企業という社労士事務所も、日本の労働者全体の意識が変わるとともに、中小企業経営者なりのビジネスニーズを捉えていくでしょう。

 

5 これから勝ち組へと成長していく社労士事務所はどんなところ?

大手企業を顧問先に持つ社労士事務所はその経験と専門分野を生かして、更に大手企業からの仕事依頼を増やしていくことが出来るでしょう。
ベンチャー企業、IPO支援、国際業務、派遣や職業紹介の許可申請等、専門分野で既にある程度の地位を築いている社労士も同様です。

またインターネットで独自集客を成功させている社労士事務所も伸びていくでしょう。
インターネット集客では助成金や給与計算代行など一点突破型で顧問先を拡大している事務所や、就業規則作成や残業代対策の経営者セミナーで見込み客から集めている事務所等があります。

社労士事務所が成長していく要素には会社組織としてのマーケティング力、営業力、そしてマネジメント力の3つが必須です。
特にマーケティング力が弱いと、せっかくの営業力もマネジメント力も発揮する場がなくなります。
広告費をかければ必ず結果が出る(顧問先が増える)わけではないからこそ、資金力以上にマーケティング力の有無が事務所の成長を左右するでしょう。

 

最後に、私がこれから間違いなく伸びるであろうと考える社労士事務所像をお伝えします。

ずばり、税理士法人の顧客を中心に据えた士業ワンストップ型の社労士法人です。
士業ワンストップ型でも税理士法人が中心であることが重要で、弁護士・司法書士が母体でないほうが良いでしょう。

なぜなら、社労士業務は税理士業務との親和性が高く、税理士は毎月など定期的に顧客と接点のある仕事をしているからです。
労務顧問、助成金、給与計算、社会保険手続きなど多くのトラブルやニーズが税理士からトス上げされ、その対応で信頼を得られれば確実にグループの社労士法人の顧問先となっていきます。

顧客目線からしても、「お金の問題」と「人の問題」に関する頼もしい経営参謀が同じグループであれば、利便性が高くなります。
そしてグループ同士の紹介には広告費がかかりません。そのため、社労士法人の経営が安定し人件費の余裕も出るでしょう。

 

こう考える理由は、弊社自身が社労士業界内で異例の成長を遂げることができているからです。

成長著しい税理士事務所と、固いタッグを組んだ社労士事務所は、経営者へのきめ細やかな労務提案ができるので、経営者からの支持を得て今後も成長を続けられるでしょう。

 

私が共同代表の西村と、ベンチャーサポート社会保険労務士法人について語ったインタビューがありますので、興味のある方はこちらもぜひご覧ください。