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顧客の信頼を掴む4つの心得|税理士事務所の仕事をする上で大切なこと

今回は、会計事務所の仕事をする上で、担当者が忘れてはいけない4つの心得についてお伝えしたいと思います。

会計事務所担当者として本当の意味で経営者から信頼を掴むことは一朝一夕にはいきません。

新たに顧問先が任せられ、一度や二度の経営者とのやり取りで信頼を得たと思っていたら、それは大きな間違いです。

経営者から信頼を掴むための「4つの心得」を知っておき、行動することで、より早く確実に信頼を得られるでしょう。

1.顧問先を知ることから始まる

顧問先を知ることから始まる

「顧客を知ることが重要だ」という話は、よくマーケティングや営業の論点で耳にします。

会計事務所担当者にとっても「顧問先を知る」ということは、非常に大切な意味を持っています。

会社の取引内容や経理のルールはもちろん、経営者のビジョン、志向、家族関係その他会社の状況全般について知るべき情報は山ほど多くあります。

あなたは、顧問先の月商、粗利率、月額家賃、従業員数、主要な取引先など適切に言えますか?

社長が今抱えている悩みについて把握していますか?

顧問先が得意先から何を求められているか知っていますか?

こういった情報をしっかり把握している担当者は、社長と深く良いコミュニケーションを取れるようになります。

なぜなら「もし自分が顧問先の社長であれば、いつも考えるであろうこと」が上記のような事柄だからです。

証票書類とにらめっこをして対話をするのが会計事務所担当者の仕事ではありません。

顧問先の経営者と対話を積み重ね、より顧問先を知り、適切な情報や価値ある提案を行っていくことが会計事務所担当者としての本来のあるべき像であり会計事務所の仕事の魅力といえるでしょう。

ただ、実際には顧問先のことを知らない担当者も多いはずです。

特に先輩から引き継いだ会社の場合は、「月次処理の仕方」や「決算の注意点」を引き継ぐだけに終わってしまい、経営者と同じ目線になる情報が引き継がれないことがあります。

それではお客様は心を開いてくれませんし、前任の担当者以上に信頼をしてくれることはないでしょう。

顧問先のビジネスを知って、社長の人柄や親族を知って、その上で会計の数字を使った相談をするのが税理士です。

2.サービス精神を持つ

サービス精神を持つ

一昔前「会計事務所は先生業」とよく言われたものですが、さすがに時代も変わり認識も変わって、「会計事務所はサービス業」と言われるようになってきました。

このサービス業としての側面である「サービス精神」。

顧問先を喜ばせようとする気持ちが欠けていては信頼関係の構築は難しくなります。

電話の対応しかりメールの返信の仕方しかり。

打ち合わせ時の会計事務所担当者の一挙手一投足に気持ちを入れることで、顧問先の担当者に対するイメージが随分と変わってくるものです。

サービス精神旺盛で契約内容以上のサービスを提供し、過剰サービスになることを不安に思われる方もいらっしゃるかも知れませんので、少しだけ言及しておきます。

顧問先と会計事務所の付き合いは一定の短い期間だけお付き合いするといった内容のサービスではありません。

長いお付き合いが前提でのサービスです。

顧問先の取引内容等も理解していない状況で、契約範囲内のみで対応するという考えでは、解約になってしまうのも時間の問題。

まずは信頼関係構築のために、契約内容はあまり気にせず、相手が喜ぶと思うことをこちらから動いてみるということも必要です。

顧問先から信頼されれば、サービスの範囲の説明はしやすくなりますし、その後の顧問報酬の増額が見込まれる場合があります。

またサービス精神はあってもマナーを怠って信頼を得られないケースもあります。

例として経験の浅い若手担当者の顧問先との打ち合わせ時を見ていきましょう。

打ち合わせ時の姿勢ですが、真っ直ぐに背筋を伸ばして座ります。

これは皆さん当たり前のことかと思いますが、問題は手をどこに置いているかというところです。

腕を組んだりするのは問題外ですが、よくコンサルタントであれば、知識や経験を更によく見させるために机の上で前で組むといった手法もあります。

これはどうでしょう?

ベテラン担当者や既に信頼関係のある顧問先の前なら問題はないでしょうが、知識や経験の浅い若手担当者がこの組み方をしたときに相手方の社長はどう思うでしょうか?

細かいことですが、常に自分の立ち位置と自分の見られ方については意識することが必要になってきます。

お客様である顧問先にはマナーよく真摯にサービス精神をもって行動することで、業務での助言・指導が顧問先に受け入れやすくなる。

そして税務顧問サービスを充実化させ、更なる信頼関係を構築することができます。

3.ビジネスとして当たり前のことを当たり前に行う

ビジネスとして当たり前のことを当たり前に行う

上記で税理士業をサービス業と考えて、お客様が喜ぶことを考えましょうという話をしました。

この気持ちを持つことが前提になりますが、気持ちだけでは信頼を得られず、またビジネスとしても成功しません。

まずは「ビジネスとして当たり前のこと」が何かを知り、行動することです。

例えば顧問先との関係は、「即レス」「即アポ」「即行動」を心がけて行動しないといけません。

顧問先にとって、メールの返信が遅れたり試算表の提出が遅れるなど、スピードが遅いと不満やストレスを増幅させることにつながります。

ましてや相手は社長ですから、普通の人の何倍ものスピードを求めてきます。

会計事務所の業務には申告期限や納付期限などの法定期限があるほか、月次決算、訪問打ち合わせなど、期限ものの仕事がたくさんあります。

「即レス」「即アポ」「即行動」この3つの対応を徹底するだけで、お客様の不満の多くは解消されます。

また「決算書、試算表が正確である」「不明点等については社長とのコミュニケーションにて解消する」「税務的にダメなことはダメと伝える」など、当然やるべき基本的なところをしっかりと対応することが顧問先から信頼を獲得する為の最低限の前提です。

そしてビジネスとして当たり前のことを当たり前にする、とはお客様からお金をきちんともらうということも含まれます。

税理士は国からお金がもらえるビジネスではありません。

すべて顧問先からお金をいただくことになります。

お客様へのサービス精神を持ちながら、正確かつスピーディーな対応をしたあとは、きちんと請求をしてきちんと入金確認まで行う。

これも担当者の大事な仕事であり、プロの仕事です。

4.価値を提供する

価値を提供する

会計事務所はサービス業の中でも「情報提供サービス業」ですから、顧問先に価値のある情報を提供しないといけません。

税金の相談に回答する、試算表・決算書を説明する、銀行融資のコツを伝えるなど会計事務所担当者として情報を提供する場面が多くあります。

しかし情報の価値とはこういったものだけではありません。

むしろこれらの情報だけであれば、ネットで検索をしたり本を読めば社長は得られる時代だからです。

だからこそ、情報に価値を付加しなければいけません。

それでは、情報に価値を付加させるにはどうすればよいでしょうか?

一言でいえば、「情報をお客様用にカスタマイズする」ことで価値が付加されます。

「わかりにくい会計や税金の内容を、お客様のわかりやすい言葉で伝える。」
「たくさんある節税の中から、お客様に一番合った節税を提案する。」
「助成金の中でお客様が受けられる可能性があるものを伝える。」等々

こういった情報を、お客様用にカスタマイズすることを常に念頭に置かなければいけません。

特に気を使ってもらって対応しなければいけないのは、顧問先から悩み相談があったときです。

顧問先は困って会計事務所担当者に連絡をしてきたのですから、親身に相談に乗り、お客様にすぐ役立つ情報を、安心するまで精一杯の気持ちで対応するようにしてください。

またお客様に合った提案ができるように、常日頃から顧問先の状況を確認しておくことが大事になってきます。

受動型でなく能動的に情報を発信していけるようになれば、顧問先からの信頼関係もまた、深まってくることでしょう。

会計事務所に入社したての頃は、自分の税務・実務の知識を深めるとことに頭がいってしまいがちですが、顧問先が一番知りたいことは、「で、うちにはどんなメリットあるの?」という、自社に関するところです。

知識の吸収は前提であって、それができれば税理士としてOKではない。

その情報をどう活用するかが、税理士の仕事ということを忘れないでください。