この記事でわかること
- 税理士事務所に応募する際の履歴書の基本ルールを知ることができる
- 税理士事務所ならではの履歴書の記載内容を知ることができる
- 税理士試験の科目免除を受けている場合の記載方法がわかる
就職・転職活動をしている時には、必ず応募した会社に履歴書を提出します。
税理士事務所に応募した場合も履歴書は必要になりますが、どのような内容の履歴書を作成すべきなのでしょうか。
税理士事務所特有の記載内容や、税理士事務所だからこそ有利になるポイントなどはあるのでしょうか。
履歴書の基本ルール
作成する履歴書の基本的な内容は、税理士事務所であってもほかの業種の会社であっても、基本的には変わりありません。
まずは、一般的な履歴書の基本ルールについて、改めて確認しておきましょう。
履歴書の書式や記載方法
履歴書は市販のものを使ってもいいですし、自分でWordやExcelを使って作成しても構いません。
市販の履歴書を使う場合は、手書きで記入することとなります。
鉛筆では記入せず、黒のボールペンや水性ペンを使用します。
また、消せるボールペンを使って記入した場合は時間が経つと消えてしまうことがあるため、必ず消えないペンを使うようにしましょう。
書類作成も大事な仕事のひとつである税理士事務所では、誤字脱字は印象がよくありません。
そのため、誤字・脱字がないように気を付けましょう。
もし間違えてしまった場合には、修正液を使ったり二重線で訂正したりするのではなく、もう一度最初から記載しなおすようにします。
今どき履歴書が手書きでなければ評価しない!という方針の税理士事務所は避けたほうが良いと思うので、基本的にはパソコンを利用して履歴書を作成することになります。用紙のサイズはB4用紙の2つ折りもしくはA3用紙の2つ折りのいずれかを使用しましょう。
文字のフォントのサイズは10ポイント以下に設定しておきましょう。
自分で作成する場合は、必ず印刷して誤字・脱字がないか、あるいは読みやすい文書になっているかを確認しましょう。
画面で確認しただけでは誤りが発見できないこともあるので、印刷した状態で確認するのが鉄則です。
履歴書の記載項目
履歴書に記載する項目には、ある程度の決まりがあります。
市販の用紙であれば、過不足なくこれらの項目を記載するようになっていると考えられますが、自分で履歴書を作成する場合は漏れのないように注意しておきましょう。
氏名・住所・連絡先
氏名や住所については、戸籍上の正式な漢字を使って記載します。
中には、本来の漢字は旧字体だが日常的には常用漢字を使っているという人もいると思いますが、履歴書には正式な漢字を使うようにしましょう。
また、連絡先として電話番号を記入する際は、携帯電話だけでも問題はありません。
自宅に電話がある場合でも在宅時間が限られているのであれば、電話がかかってきたときに確実に対応できるように、携帯電話の番号だけを記載してもいいでしょう。
また、会社からの連絡をメールでもらう場合もあります。
携帯電話のメールでは受信できないメールもあるため、パソコンで使えるメールを記載しておきましょう。
顔写真
履歴書に写真を貼って提出する必要がある場合、写真を準備しなければなりません。
スーツなど仕事に行く時の服装で写真を撮って、貼り付けるようにしましょう。
顔写真は求職者が考えている以上に重要です。スマホで撮影したような物は避け、できれば自動の証明写真機での撮影も避けたほうが無難です。
学歴・職歴
学歴は通常、高校卒業から記入しますが、中学校卒業から記入する場合もあるなど、絶対的な決まりはありません。
高校や大学の入学・卒業については必ず記載するようにします。
職歴については、入社と退社の事実を記載します。
転職回数が多かったり、長期間のブランクがある場合も正直に記載するようにしましょう。
税理士試験受験のために職歴にブランクがある場合は、そのとおりに記載すれば問題ありません。
免許・資格
まずは税理士の科目合格や簿記など、税理士事務所の仕事に直結する資格を記載します。
そのうえで、自動車運転免許や語学に関する資格など、そのほかの資格を記載するようにします。
特に自動車運転免許は、地方の税理士事務所では必須ともいえる資格であるため、忘れずに記載するようにしましょう。
大手の税理士法人や、個人事務所でも海外取引を得意にしているような税理士事務所なら、語学経験が大きな採用ポイントになることもありますので、応募前にホームページなどで、応募事務所の業務をしっかりチェックしておきましょう。
履歴書作成上の注意点
履歴書を作成する際に最も注意しなければならないのは、読む人が読みやすい状態になっていることです。
履歴書だから全文しっかり読んでくれるだろう、というのは求職者の思い込みで、もしかするとすごい数の履歴書が届いているかもしれません。
ですから、所長や採用担当者が読みやすく書く必要があります。できればパソコン入力の履歴書にすること、無駄な修飾語を省いて必要な情報を簡潔にまとめる工夫を心がけましょう。
税理士事務所の履歴書の資格欄の書き方
税理士事務所に勤務する際に必要な資格や能力を有していることをアピールすることは、税理士事務所に入るためには必要なことです。
そこで、履歴書に記載する項目の中でも特に重要なポイントについて詳しく解説していきます。
税理士資格を有している場合
税理士資格を持っている方は、税理士試験に合格した際の科目を記載することで、どの税法に強い税理士なのかをアピールすることもできます。
さらに、科目ごとに合格した年次を記載しておくと、税理士になった過程や過去の経歴などが新たな評価や話題につながる可能性もあります。
税理士会への登録も完了している場合は、どの税理士会に登録しているのか、税理士の登録番号は何番なのかといった詳細の情報も履歴書に記載します。
税理士試験には合格しているが、税理士会への登録がまだ済んでいない方は、2年の実務経験が満たない場合と実務経験はあるけど登録していない場合の2つがあります。
いずれにしても上記のように、合格科目を記載しておきましょう。
科目合格している場合
税理士試験の科目合格があることは、税理士事務所に入る際には大きなアドバンテージとなります。
すべての合格科目とその年次を記載するようにしましょう。
実務上特に必要となることが多いのは、「簿記論」「法人税法」「消費税法」です。
また、「所得税法」や「相続税法」といった税法も、実務的に必要な場面があるため、より評価が高いと思われます。
科目合格者には、1科目の人も4科目の人も含まれます。
当然、合格科目数が多い人の方が評価は高くなりますし、実際に給料などの待遇面で差がつく税理士事務所もあります。
ただ、合格科目数が少ないからといってマイナスになるわけではありません。
合格科目数に加えて、実務経験や現在勉強中の科目の状況なども評価には関係してくる可能性が高いため、不合格だった場合でも学習経験を記載しておくことをお薦めします。
簿記試験に合格している場合
税理士事務所の会計ソフト入力業務は、税理士試験の科目合格レベルの知識が必要なわけではなく、簿記2級程度の知識があれば十分に対応できます。
ただ逆にいうと、簿記の知識がまったくない人の場合は、実務を任せるのが難しいということになります。
税理士試験の科目合格の有無に関わらず、簿記の資格がある場合は必ず記載しておきましょう。
税理士試験の科目免除がある場合の書き方
税理士試験を受験している人の中には、大学院に通って論文を執筆したことにより、科目合格免除を受けている人がいます。
このような人が履歴書を作成する場合は、学歴の欄に大学院に通ったことを記載し、資格の欄に科目合格免除を受けた旨を記載しておきます。
科目合格免除は試験を受けて合格した場合と違い、特定の税法についての計算方法や税法の理論を覚えたりはしません。
そのため、科目免除自体を評価してくれる税理士事務所は少ないはずです。
ただ、大学院で税法の基本的な考えを学んだことはプラスになりますので、履歴書に記載しておき、面接の際に学んだ内容をアピールしましょう。
まとめ
税理士事務所への就職・転職活動では、簿記3級以上の何かしらの資格を保有している人が多いため、採用されるためによりよい資格をと際限なく勉強ばかりする人をよく見かけます。
しかし、難しい資格があれば受かるのではなく、最低限の知識があって協調性を持って働ける人のほうが欲しい事務所は多いと思います。
前職がある人は、その前職での経験が新たな職場でも活かされる場面を想定して、その部分を重点的にアピールしてはどうでしょうか。
また、税理士試験の試験学習の状況や、パソコンスキルなども具体的に話せるように準備しておきましょう。