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税理士事務所の給料・年収はいくら?|初任給から10年勤務後まで予想

「税理士は年収いくら稼げるのか?」
「税理士事務所で働くスタッフの給与はいくらぐらいか?」
「税理士試験に科目合格するとどれぐらい給与が上がるのか?」

税理士試験の受験生や、これから税理士事務所に転職を考えている方は、
非常に気になるテーマだと思います。

こちらの記事と動画では「税理士の年収」について
単なる平均金額だけでなく、あらゆる角度から詳しくお伝えします。

動画で見たい方は下のyoutubeから、
このままホームページで読みたい方はページを下にスクロールしてお進みください!

初任給はいくらくらいか?

初任給については、就職情報誌やインターネット、ハローワークなどに記載があります。

ですが、「月給20万円~(能力による)」といった曖昧な表現をされてるケースも多く、実際のところはどれくらいが相場なのかわかりにくいものです。

そこで税理士業界の就職専門誌からデータを拾ったり、知り合いの税理士に聞いてみたりして分析してみました。

その結果、まず正社員の初任給を考える際には
「税理士業界の経験があるか否か?」
「税理士試験の科目は合格(受験)しているか?」
の2つの要素が関係していることが多いようです。

過去2年分の業界就職情報誌のデータを拾ったところ、未経験の方の初任給は「18万円~25万円」が一番多くて全体の8割がこのゾーンでした。

経験者の方では「24万~30万」が相場のようです。

傾向としては、業界全体の人手不足の影響からか、未経験であっても税理士試験の科目合格者は初任給が高いことがわかりました。

「未経験+税理士試験2科目以上」で絞ったところ、初任給は23万以上が相場です。

年齢制限については、未経験の方は30歳未満に絞っている事務所が多いですが、経験者は年齢制限をしているところはありませんでした。

また私の周りの独立している税理士に聞いて回ったところ、こんな声もありました。

「初任給は安く設定しているが、顧問先を1人で担当できるようになったら臨時で給料を上げている。」
「初任給は高めに設定しているが、その後の昇給は低くしている。」

このように真逆の考え方をしている事務所が実在します。

初任給は気になる要素ではありますが、あまり拘り過ぎるのも良くないのかなと思います。

その他、税理士事務所の考え方で学歴や年齢でも初任給が変わる事務所もありました。

経験者については、合格科目の数など関係なく、業界全体で優遇されている状態にあります。

即戦力としての期待値が高いため、どこの税理士事務所でも取り合いの様相を呈しています。

「前職の年収を維持したい」と言った要望が通ることもあります。

年間の昇給額は?何歳でどのくらいの年収が相場か?

入社後にどれくらいの昇給があるのか?

このデータは求人雑誌には明確には書かれているところはありませんでした。

実際には、税理士業は本人の能力が顕著にわかる仕事ですので、能力次第なので記載できないのでしょう。

そこで参考データとして、「事務所経営白書2020(FIVE STAR MAGAZINE)」の「税理士事務所の平均年齢、勤続年数、年収の推移」から一部抜粋をさせていただきます。

会計士・税理士事務所の場合、「平均年齢42.9歳」で「勤続年数10.3年」「平均年収643万円」「平均賞与138万円」というデータがありました。

このデータは従業員数が10人~99人の中堅規模の事務所のデータです。

平均年収には賞与も含まれていますので、賞与を抜いた金額を12で割ると平均の月給は42万円。

初任給が月給25万だったとすると、10年で月給42万円になっているのが、税理士事務所のモデルケースと言えそうです。

これらをまとめると、給料の相場は
「100人規模の税理士事務所だと、入社時の初任給が25万円。毎年の昇給が2~3万円として、順調に10年勤務して月のお給料42万円くらい」
が平均的(よりやや順調?)な税理士事務所のスタッフということになります。

ちなみに賞与138万円には、インセンティブ等も含まれていると思われます。

税理士事務所によっては、お客様が新規のお客様の紹介をくれた場合や、生命保険に加入してもらった場合などにインセンティブを支払ってくれるところがあるのです。

就職情報誌を見る限り、多くの事務所の賞与が2ヶ月分~3か月分という感じですので、その差額はインセンティブ等と考えられます。

税理士の年収については、さまざまなデータがでており正確に読み取らなければ、自分の将来目標に誤った数字を使うことになりかねませんので、詳しくは税理士や税理士補助(税理士事務所スタッフ)の年収はいくら?の記事もしっかり読んでみてください。

独立したら年収はいくら稼げるか?

さて、では税理士の資格を取得して独立をすると、年収でどれくらい稼げるのでしょうか?

これは「国税庁統計年報」のデータを使ったものが、「事務所経営白書2020」にありました。

2012年から2016年までのデータは下記のようになっています。

 

税理士有資格者の平均所得金額

(出展:ファイブスターマガジン『事務所経営白書2020』P45)

 

「平均所得」で550万前後というのが独立している税理士のリアルな状況です。

これは「所得」、つまり売上から諸経費を引いた実際の実入りが550万円前後ということです。

経済センサスによると、2016年の税理士事務所の1事務所あたりの平均売上高が約4200万円でした。
そこから家賃や人件費など3650万の経費がかかって残るのが「所得の550万」で、これが平均的な独立税理士の年間損益である、ということを上記データは示しています。

ただし、平均ということは凄く儲かっている人もいる一方、ほぼ利益が出ていない人もいます。

所得1000万を超えている人が33%、所得3000万を超えている人が4%になりますので、独立税理士は自分の手腕次第で大きな差が開くという結果が出ています。

知っておきたい小規模事務所のリアル

ここまで税理士業界の平均給与や、税理士として独立をした人の平均所得をデータを用いながらご紹介してきました。

最後にひとつ、見落としてはいけないポイントを伝えておきます。

上記の従業員の平均給料は「10人~99人規模の中堅クラスの税理士事務所」のデータでした。

ただ、実際には税理士事務所の圧倒的多数は10人未満の零細会計事務所です。

多くの方が最初に就職する可能性が高いのが、こういった小規模な税理士事務所なのです。

では10人未満の事務所のリアルな状況はどうなのか?

これは、明確なデータが無かったため、実際に弊社に転職をしてきた人から聞き取る方法しかありませんでした。

結論から言いますと、「事務所ごとの格差がすごく大きい」です。

10人未満であっても、中堅規模と同じレベルの給与を出せるところがある一方で、法律の最低賃金ギリギリと言ったところも見受けられます。

また地方と都心部でも差が見られました。

東京・大阪・名古屋など都心部の税理士事務所は10人未満でも高い給与水準でしたが、地方の零細事務所の給料は最低賃金ギリギリであることも多かったです。

これは地方では家賃等の生活費が都心よりも安いため、給料を上げなくても人が集まるという背景もあるようです。

周りの事務所もどこも同じような給与体系だったと言ってました。

都心部であっても、顧問先が減少傾向にある税理士事務所は給料の額も低めです。

逆に10人未満でも「昔から何代も続いている地元の名士のような税理士事務所」や「集客が好調で拡大路線の事務所」は給料が高い傾向にあります。

顧客が増えている事務所は常に求人を出して、常に優秀な人材を求めています。

優秀な人材を獲得するためなら、高めのお給料も喜んで支払うということでしょう。

税理士事務所の規模による待遇や労働環境の違いを詳しく知りたい方は、「税理士業界情報vol.1  税理士事務所の規模について 」をぜひご覧ください。